教育評論第39巻第1号
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注(1)同校については、さしあたり次を参照。ソニア・シルヴァ「東京国際フランス学園が直面するジレンマ」『フランス文化研究』第54号、獨協大学外国語学部フランス語学科、2023年、39-51頁。坂倉裕治「東京国際フランス学園」『フランス教育学会紀要』第27号、2015年、135-136頁。40(2) Barideau C. et Dubois D. (dir.), Enseignement moral et civique. L’apprenti citoyen du XXI頁を参照。(3)道徳・公民科の教材についての近年の研究成果として、教科書分析に基づき指導法の特質を検討した川上若菜「フランスの道徳・公民科における道徳的分野を取り扱う教材の指導方法の特質 ─2016年版コレージュ教科書に着目して─」(『道徳教育方法研究』第27号、2022年、1-10頁)、および政治への参加意識の形成という視点から道徳・公民科で育成すべきコンピテンシーと教科書の内容を紹介した鈴木規子「フランス人はいかに市民となるのか」(『ふらんす』白水社、2022年5月号、14-17頁)などがある。これらの研究は道徳・公民科の教科書に着目したものである。それに対して本稿では、実際の授業の観察をふまえつつ、生徒の学習活動に直接的にかかわる教材である学習ノートを検討する。それにより、道徳・公民科教材の学習・指導への実践的な活用の可能性を検討する点に、本稿の新規性がある。(4)2018年に改訂された、現行の初等・中等教育の道徳・公民科プログラムでは、「共和国的諸価値を獲得し、分かち合うこと」が教育目標の柱の一つとして位置づけられている。「自由」は、「平等」、「友愛」、「ライシテ」とともに「フランス共和国の4つの主要価値ないし原理」に数えられている。そのため「自由」は、学習・指導内容の諸区分に関わらずプログラム全体を通して参照される、道徳・公民科教育の基本理念をなす価値となっている。2018年版道徳・公民科プログラムの内容については、さしあたり次を参照。大津尚志『フランスの道徳・市民教育』晃洋書房、2023年。大津尚志「資料解題 フランスにおける2018年度版「道徳・市民」科学習指導要領」『教育学研究論集』第16号、2021年、67-71頁。川上若奈「〈翻訳〉2018年改訂版フランス第4学習期「道徳・市民教育」の学習指導要領」『筑波大学道徳教育研究』第21号、2020年、68-78頁。なお、本稿で参照する学習ノートは、2015年に改訂された旧プログラムに準拠して制作されたものであるが、本稿で扱う内容については、現行プログラムとの大きな齟齬は認められない。(5)原文の « Les hommes naissent et demeurent libres et égaux en droits » のうち、「権利として(en droits)」の部分は、文法上、「自由(libres)」と「平等(égaux)」の両方にかかっていると解釈することも可能である。しかし、宣言の草稿や制定までの経緯を踏まえて、「平等」にのみかかっているとみるのが、制定時点での解釈として妥当とされている。この点について、研究は枚挙に暇がない。さしあたり、次を参照。河野健二編『資料 フランス革命』岩波書店、1989年、105頁。辻村みよ子『人権の普遍性と歴史性』創文社、1992年、98-99頁。道徳・公民科を日本の中学校社会科公民領域と比較することは重要な課題である。後日を期して稿を継ぎたい。(7)この論点にかかわる研究は枚挙に暇がない。さしあたり、次を参照。岡村等「フランス革命におee早稲田教育評論 第 39 巻第1号, Paris: Hatier, 2016. なお、フランスでは、教員に対して教科書の使用義務は課されていない。坂倉裕治、上原秀一、阿部弘「フランスの子どもたちの学校生活」『ふらんす』白水社、2020年10月号、6 siècle, 4に協力くださった東京国際フランス学園(フランス外務省在外教育庁直轄校)の関係者各位に謝意を表明したい。(6)ここでは主題的に扱うことができないが、他教科・他領域との連携という視点から、フランスの

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