1901結社の自由1905政教分離法(ライシテ)1935意見表明〔デモ活動〕の自由1944普通選挙1970私生活を尊重される権利情報処理と自由に関する法律(loi informatique et liberté)〔「情報処理、データおよび1978自由に関する1978年1月6日の法律第78-17号」の通称であり、日本の個人情報保護法に相当〕年表の筆頭に位置づく「人間と市民の権利宣言」(1789年)は、様々な困難を克服しながら人権尊重の理念がだんだんと実現されていく歴史、現代のフランスの社会体制に直接的につながる歴史の出発点として、道徳・公民科の授業でも折に触れてくりかえし参照されている。特に第3課の学習内容は、歴史的知識を前提としなければ適切に理解することが困難な記述・設問が多く、教科横断的視点で学習・指導が進められることを前提としたものと推察される。コレージュにおける道徳・公民科は原則として地歴科の教員が担当することも、連携に好都合である。筆者たちが観察した授業の担当者は、地歴科のベテラン教員であり、歴史の時間に学んだであろう、フランス革命期に試みられた様々な施策にかかわる知識を積極的に参照・動員していた(6)。上記資料1に対しては、4つの設問が設定されている。設問1 年表(資料1)について、対応する年代に下線を引きなさい。・自由を勝ち得た事項は青いボールペンで・自由が抑圧された事項は赤いボールペンで年表に列挙されている出来事は、自由の獲得にかかわるものと、自由の抑圧にかかわるものとに分類することができる。二つのカテゴリーに出来事を分類することで、年表に記された自由の実現の歴史が、単線的な進歩・発展の過程ではなく、自由の擁護と抑圧の抗争の過程であったことを理解することができる。つまり、この設問は、自由が、絶え間ない闘争のなかで、不断の努力によって勝ちとられてきたものだという歴史的視座を獲得させようとしていると考えられる。設問2 集会と結社の自由にかかわる事項を○で囲みなさい(資料1)。設問2に対する解答として、以下の事項を選択することが想定されていよう。「集会と結社の自由」(1790年)、「平和的な集会と結社の自由」(1848年)、「出版の自由と集会の自由」(1881年)、「労働組合活動の自由」(1884年)、「結社の自由」(1901年)、「意見表明〔デモ活動〕の自由」(1935年)である。フランス革命は、国家と臣民の間に存在していた様々な中間団体を徹底的に破壊した。その最31フランスの前期中等教育段階における道徳・公民科授業・教材研究(1) ─「自由」をめぐって─
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