教育評論第39巻第1号
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注「古典探究」教科書の漢文教材をめぐって141(1) 「□言語文化□教科書の漢文教材をめぐって」(『早稲田教育評論』第38巻第1号、2024年4月)に論じたことがあるが、桐原書店の掲載を逸したことをここにお詫びし、訂正する。(2) 『書道研究』第54号、1993年8月。(3) 「楓橋夜泊」詩と寒山寺については、「日本の寒山寺─張継□楓橋夜泊□詩碑に寄せて」(『アジア・文化・歴史』第12号、2021年1月)・「日本の寒山寺補遺─張継□楓橋夜泊□詩碑に寄せて」(同第14号、2023年5月)、早野巴人については、「夜半亭随記─巴人・蕪村・几董と□王維が垣根□」(同第13号、2022年2月)を参照されたい。(4) 注(1)所掲の「□言語文化□教科書の漢文教材をめぐって」に詳しく論じている。堀誠「中野逍遙詩篇・小説考」(『国文学研究』第189集、2019年10月)を参照。(5) 堀誠「日中幼帝入水考─亡家亡国の挽歌として─」(『学術研究』(国語国文学編)第46号、1998年2月。のち『日中比較文学叢考』第三部第三章所収、2015年9月、研文出版刊)に詳しく論じたことがある。並称対比して、双方の事績が記される。詠懐に際して、日中の事績を重ねて念唱することは、漢学の人々にとって会心の史的投影でもあった。梁川星巌(1789〜1858)の「下関雑詩六首」第六首(『西征集』第三所収)に次のように詠じる。亡家亡国恨如何(亡家擐亡国の恨みや如何ん)壇浦厓門豈異科(壇の浦と厓門は豈に科を異にせんや)唯有盲翁能演説(唯だ盲翁の能く演説する有り)哀音一等入鼙婆(哀音 一等 鼙婆に入る)家を亡ぼし国を亡ぼした恨みは測りようもなく、平家の滅びた「壇ノ浦」と宋朝の滅びた「厓山」に何の異なりもない。「盲翁」こそ哀しい音調で演唱する盲目の琵琶法師。「鼙婆」は琵琶の異名。悲しい声音が琵琶の音調とマッチして心に沁みる(5)。史伝はさまざま調べ学習の題材を秘めた宝庫でもある。*本報告は、2023年度〜2024年度採択の研究部会「新高等学校国語科目□古典探究□の教材研究」の成果の一部である。

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