134早稲田教育評論 第 39 巻第1号詩」に、①②では、独坐敬亭山(李白)〔五言絶句〕・秋風引(劉禹錫)〔五言絶句〕・九月九日憶山東兄弟(王維)〔七言絶句〕・磧中作(岑参)〔七言絶句〕・除夜寄弟妹(白居易)〔五言律詩〕・江村(杜甫)〔七言律詩〕の六首を掲げ、③では、鹿柴(王維)〔五言絶句〕・絶句(杜甫)〔五言絶句〕・峨眉山月歌(李白)〔七言絶句〕・春夜(蘇軾)〔七言絶句〕・除夜寄弟妹(白居易)〔五言律詩〕・遊山西村(陸游)〔七言律詩〕の六首を掲げ、同時に、「言語活動 漢詩の字句や構成を考える」との基本事項の学習を介して、①②③ともに「日本の詩」には、不出門(菅原道真)〔七言律詩〕・冬夜読書(菅茶山)〔七言絶句〕・送夏目漱石之伊予(正岡子規)〔五言律詩〕の平安・江戸・明治の時代から各一篇を採り、「活動の手引き 菅原道真と白居易」に生徒A・Bと教師の問答形式で、道真の「不出門」と白居易の「香炉峰下に新たに山居を卜し草堂初めて成り偶東壁に題す」の類似から比較するといった問題提起の工夫もある。◎ 数研出版の①『古典探究 漢文』・②『高等学校古典探究』の二種は、「中国の詩」と「日本の詩」に大別するとともに、「中国の詩」は「絶句」と「律詩」に区分して、「絶句」には、鹿柴(王維)〔五言絶句〕・勧酒(于武陵)〔五言絶句〕・尋胡隠君(高啓)〔五言絶句〕・山中対酌(李白)〔七言絶句〕・磧中作(岑参)〔七言絶句〕・江南春(杜牧)〔七言絶句〕・澄邁駅通潮閣(蘇軾)〔七言絶句〕・雨中登岳陽楼望君山(黄庭堅)〔七言絶句〕の五言・七言の絶句八首が採られ、「律詩」には、旅夜書懐(杜甫)〔五言律詩〕・黄鶴楼(崔顥)〔七言律詩〕・寄李儋・元錫(韋応物)〔七言律詩〕の五言・七言の律詩三首が採られる。この十一首の「中国の詩」に対して、「日本の詩」には、梅花(菅原道真)〔七言絶句〕・題野古島僧房壁(絶海中津)〔五言律詩〕・題不識庵撃機山図(頼山陽)〔七言絶句〕・題自画(夏目漱石)〔七言絶句〕中古・中世・近世・近代から絶句三首、律詩一首を採り、中国と日本にわたる漢詩学習を経由して、「ズームアップ 漢詩を作ってみよう」に展開させる。「読む」ことから「詠む」ことへの転換をここに設定している。ここで扱う総詩数は、「日本の詩」は四首であるが、中国の詩十一首と合わせると十五首の多数にいたる。詩型では絶句が十一首、律詩が四首となる。「古典探究」の教科書全14種の内、以上の11種に「日本漢文」の教材を「日本の漢詩文」「日本人と漢詩文」「日本の漢文」、あるいは同一の単元の中で「中国の詩」と「日本の詩」に区分して編集するという、およそ二通りの方法が認められたが、残る3種の教科書は、複数の単元に分散して教材を日中混合で配している。その様相も具体的に眺めてみたい。B.分散混合型の編集◎ 東京書籍のもう一つの教科書②『精選古典探究 漢文編』は、「第Ⅰ部」「1 小説―六編」に、
元のページ ../index.html#140