〔1〕「古典探究」における「日本漢文」の教材について2018年告示の「高等学校学習指導要領」によって「現代の国語」「言語文化」(各2単位)の共通必履修科目と「論理国語」「文学国語」「国語表現」「古典探究」(各4単位)の選択科目に再編された高等学校国語科目(2022年度より年次進行実施)の中で、「古典探究」(2023年度実施)は、「共通必履修科目□言語文化□により育成された資質・能力のうち、□伝統的な言語文化に関する理解□をより深めるため、ジャンルとしての古典を学習対象とし、古典を主体的に読み深めることを通して伝統と文化の基盤としての古典の重要性を理解し、自分と自分を取り巻く社会にとっての古典の意義や価値について探究する資質・能力の育成を重視して新設した選択科目である。」と説明する(『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説国語編』(2018年7月)第2章第6節「古典探究」1「性格」)。『高等学校学習指導要領』第2章第1節「国語」第2款「各科目」第6「古典探究」の3「内容の取扱い」(3)に示される「教材」の留意事項「ア」に次のようにある。ア 内容の〔思考力、判断力、表現力等〕の「A読むこと」の教材は、古典としての古文及び漢文とし、日本漢文を含めるとともに、論理的に考える力を伸ばすよう、古典における論理的な文章を取り上げること。また、必要に応じて、近代以降の文語文や漢詩文、古典についての評論文などを用いることができること。ここに示される〔思考力、判断力、表現力等〕の「A読むこと」の教材に関して、『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説国語編』は、第2章第6節「古典探究」の4「内容の取扱【研究報告】堀 誠129キーワード:古典探究、漢文教材、日本漢文、伝統と文化【要 旨】2018年告示「高等学校学習指導要領」によって「論理国語」・「文学国語」・「国語表現」とともに選択科目として再編された「古典探究」(各標準4単位)は、2023年4月にスタートした。「古典探究」は、小・中学校の国語や高等学校の「言語文化」により涵養された「伝統的な言語文化に関する理解」をより深め、先人のものの見方・感じ方・考え方に親しみつつ伝え合う力を高め、生涯にわたって古典に親しみ自己を向上させることを狙いとする。国際化や情報化が急速に進展する中で、我が国と外国の文化の関係や古典への関心を拓き探究するとの考えがその根底には流れる。教材は、近世までに書かれた「古典としての古文及び漢文」とし、「日本漢文」(上代から近世の間に日本人が作った漢詩と漢文)を含め、「近代以降の文語文や漢詩文、古典についての評論文など」を用いることができると明記する。ここに加味された教材的な新事項に着眼しながら、その教科書の特徴について考察する。「古典探究」教科書の漢文教材をめぐって
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