教育評論第39巻第1号
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注子どもの読書活動と「家読」の推進に関する一考察─日中の公共図書館の比較から─1271014046/1014057.html 2024年11月11日参照)邏輯与推進路徑」『教育理論与実践』、第44巻第10期、16-22頁。施策。12 連雲港市図書館HP『連雲港市図書館2023年報』(https://previewyd.chaoxing.com/res/view/view.html?objectid=ffe399ef7a9f1adc80e2b3c803210e6f&download=true&enc=427e4b6cf4fb6676acd029e5c1288d9d保護者によって絵本の読み聞かせをされてきた環境に置かれている。また、絵本を活用した多言語学習によって、第2言語、第3言語を自然に身につけている。ただし、その場合にも、家庭だけではなく、公共図書館が重要な役割を果たしていることが示唆された。また、大久保図書館では、あらゆる種類の多様な文化的な背景をもつ利用者に対するサービスの提供を目指しており、多文化図書コーナー(英語、中国語、韓国語以外の少数民族言語を含む)を設置するほか、多言語によるお話会を開催している。このような家庭と公共図書館の連携による多言語教育に実践は、今後の多文化共生社会の構築にとって、重要であると思われる。ところで、中国において出版されてきた絵本は、これまでどちらかというと知識を学ぶことに重点が置かれがちであり、中国の母親たちと話をしていても、絵本は知識を効率的に学ぶものと考えているという印象が強い。それに対して、日本では、どちらかというと絵本を楽しむもの、親子の絆を強めるもの、ということが重んじられているように思われる。それぞれの国情に合わせた絵本のあり方があるのは当然であり、それぞれに優れた点は学んでいきたいものである。本稿で論じてきた家読は、子どもの読書活動の定着のために重要であり、子どもに読書の楽しみを教え、家族の絆を強化する意味では重要な役割を担っていると考えられる。今後、日中の両国において、家読が各地で展開されること、そのためには公共図書館が積極的な支援策を展開することを期待しつつ、継続的に注視していきたい(分担執筆:小林(新保)敦子)。1 国立国会図書館 国際子ども図書館ウェブサイト「読書活動推進に関するこれまでの動き」(https://www.kodomo.go.jp/promote/plan/history.html 2024年8月19日参照)。2 第1次基本計画(平成14年8月)2002年、2頁。3 第5次基本計画(令和5年3月28日)2023年。4 0歳児検診などで、自治体から赤ちゃんに絵本を贈り、市民団体などが読み聞かせを行う取り組み。日本では2001年に複数の自治体が導入し、2024年には全自治体の約63%が実施(NPOブックスタートウェブサイトhttps://www.bookstart.or.jp/coverage/ 2024年8月19日参照)。5 第2次基本計画(平成20年3月11日)2008年、第3次基本計画(平成25年5月)2013年より。6 第4次基本計画(平成30年4月)2018年より。7 Shimbo, A., & Tendo, M. (2022). Creating cultural resources and reading: A case study of a public library and invisible parental pedagogy in Tokyo. International Journal of Educational Research, 113, 101970. https://doi.org/10.1016/j.ijer.2022.1019708 荒川区立南千住第二幼稚園HP (https://www.aen.arakawa.tokyo.jp/minamisenju2/kindergarten-life/ 9 徐昇国(2024)「対深化全民閲読活動的戦略思考」『出版広角』、第10期、4-5頁。10 姚佳勝、趙慧琳、李穎芳(2024)「従『法制』到『法治』:改革開放以来我国家庭教育政策的演進11 「双減」政策とは、義務教育段階の学生の宿題と学習塾といった学外教育の負担を軽減するための

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