教育評論第39巻第1号
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3.3.分析内容・統計処理3.3.1.小学校教師における児童の運動有能感に関する理解状況を明らかにするための分析価群」として児童を3群に分類し、運動有能感調査の質問項目および因子ごとに各群の人数分布を検討した。全ての統計処理にはIBM SPSS Statics version28を用い、統計的有意水準は危険率5%とした。3.3.2.小学校教師における児童の運動有能感に関する理解状況について、運動能力と運動有能感が一致する児童とそうでない児童との間で差があるかを明らかにするための分析まず、児童の運動能力と運動有能感の調査結果に基づいて、「運動能力も運動有能感も高値である群(HH:high-high)」、「運動能力は高値であるが、運動有能感は低値である群(HL:high-low)」、「運動能力は低値であるが、運動有能感は高値である群(LH:low-high)」、「運動能力も運動有能感も低値である群(LL:low-low)」の4群に児童を分類した。尚、高値と低値の分類基準として、運動能力については、新体力テストによる総合評価でA、B判定の者を「運動能力高値」、C、D、E判定の者を「運動能力低値」として定義した。運動有能感については、因子ごとに合計点を算出した上で全体におけるその平均点を算出し(身体的有能さの認知における平均点:13.2点、統制感における平均点:16.2点、受容感における平均点:17.1点)、平均点より高値の者を「運動有能感高値」、平均点より低値の者を「運動有能感低値」として定義した。次に、因子ごとに自己評価点の合計点から他者評価点の合計点を引いて得点差を算出し、Shapiro-Wilk検定によりデータの正規性を確認した上で、一元配置分散分析により得点差を群間で比較した。多重比較法として、データが等分散の場合はTukey法を、データが等分散でない場合はGames-Howell法を適用した。全ての統計処理にはIBM SPSS Statics version28を用い、統計的有意水準は危険率5%とした。4.分析結果4.1.小学校教師における児童の運動有能感に関する理解状況を明らかにするための分析自己評価点と他者評価点の一致性について重み付きκ係数により検討したところ、第1因子100早稲田教育評論 第 39 巻第1号Shapiro-Wilk検定によりデータの正規性を確認した上で、Mann-Whitney検定を用いて運動有能感調査の質問項目および因子ごとに自己評価点と他者評価点を比較した。また、因子ごとに自己評価点と他者評価点の合計点を算出し、これらの一致性についてCohen’s Weighted Kappa係数(重み付きκ係数)を算出した。さらに、自己評価点から他者評価点を引いて算出した得点差が −4〜−2点を「他者過大評価群」、−1〜1点を「自己他者一致群」、2〜4点を「他者過少評Mann-Whitney検定により運動有能感調査の自己評価点と他者評価点を比較したところ、第1因子の身体的有能さの認知ではQ2と合計点で有意差が認められ、いずれも自己評価点は他者評価点より有意に高値であった(p<0.01)(表2)。第2因子の統制感では合計点のみで有意差が認められ、自己評価点は他者評価点より有意に高値であった(p<0.01)(表2)。第3因子の受容感ではQ6、Q7、Q9で有意差が認められ、いずれも自己評価点は他者評価点より有意に高値であった(p<0.01)(表2)。

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