A5B4CD3E2小学校教師における児童の運動有能感に関する理解状況表1.対象教師(A~E)の年齢および教職経験年数272647251999平均29.86.624年齢(歳)教職経験年数(年)えば、運動能力は高いが運動有能感は低い、もしくは運動能力は低いが運動有能感は高い)場合、教師がどのように子どもの運動有能感の程度を評価しているかは不明である。2.目 的上記の背景を踏まえて、本研究は、体育授業において児童の運動有能感を涵養することを目指す観点から、小学校教師における児童の運動有能感に関する理解状況を明らかにすることとした。また、この理解状況について、運動能力と運動有能感の高低が一致する児童とそうでない児童との間で差があるかを明らかにすることとした。3.調査方法3.1.対 象2022年9〜11月の期間に、小学生高学年156名と教師5名を対象として調査を実施した。データに不備のなかった男子70名(平均±標準偏差:11.0±0.6歳、141.5±7.5cm、39.3±10.0kg)、女子64名(11.1±0.8歳、144.6±7.6cm、38.5±7.8kg)、計134名(11.0±0.7歳、143.0±7.6cm、38.9±9.0kg)とその担任教師5名(表1)を分析対象とした。本研究は早稲田大学研究倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号:2022−168)。測定に先立ち、研究の趣旨および方法について学校長、担任教師、児童本人へ説明し、担任教師よりインフォームドコンセントを得た。3.2.調査項目調査項目は、児童の運動有能感(以下、自己評価)、担当教師が予想する児童の運動有能感(以下、他者評価)、児童の運動能力、以上3点とした。運動有能感の自己評価および他者評価については、岡沢ら(1996)によって作成された運動有能感尺度を用いることとし、Googleフォームを通じて質問紙を配布することで調査した。先行研究を参考に(岡沢ほか,1996;中山ほか,2012;木村・尾縣,2021)、第1因子として身体的有能さの認知(運動能力や技能に対する自信)、第2因子として統制感(努力すればできるようになるという自信)、第3因子として受容感(仲間から受け入れられているという自信)を設定し、各因子4項目、計12項目について5段階(1点:まったくあてはまらない、2点:あまりあてはまらない、3点:どちらともいえない、4点:ややあてはまる、5点:よくあてはまる)で回答を求め点数化した。運動能力については、当該年度実施の新体力テストの結果を担任教員より入手することで調査し、5段階の総合評価(上位からA、B、C、D、E判定)をもとに評価した。
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