道府県が離島振興計画を定めるものとされた。これにより、地域振興の主体が国から都道府県や離島市町村へ移行し、地方への権限移譲などを目的とする地方分権化の流れと同様に、離島地域の主体的な島づくりを後押しするものとなった[佐藤 2009]。離島の自立的な発展を促すという意味では離島市町村や都道府県の裁量権を拡大させたことには意義があったが、「領土」をめぐる問題の緊迫化を受けて、2013年からの離島振興法では離島の持つ国家的な役割をより明確にする必要が出てきたということであろう。25 正式名称は「有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する特別措置法」。26 第五条27 第六条28 第七条29 第十一条30 第十二条・第十三条31 第十四条32 第十五条33 第十六条34 具体的な施策については、[内閣府総合海洋政策推進事務局有人国境離島政策推進室 2023]などを参照のこと。35 2022年11月18日成立。36 第 一条の三 国は、前条の基本理念にのつとり、離島の振興のために必要な施策を総合的かつ積極的に策定し、及び実施する責務を有する。 2 都道府県は、前条の基本理念にのつとり、その区域の自然的社会的諸条件に応じた離島の振興のために必要な施策を策定し、及び実施するよう努めるとともに、その全部又は一部の区域が離島振興対策実施地域である市町村相互間の広域的な連携の確保及びこれらの市町村に対する離島の振興のために必要な情報の提供その他の援助を行うよう努めるものとする。37 「これからの移住・交流施策のあり方に関する検討会報告書 ―「関係人口」の創出に向けて―」(2018、https://www.soumu.go.jp/main_content/000529409.pdf、2023年9月20日閲覧)38 「有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する基本的な方針」(2017年4月7日 内閣総理大臣決定、https://www8.cao.go.jp/ocean/kokkyouritou/yuujin/pdf/h29_kihonhoushin.pdf、2023年9月20日閲覧)39 例えば新潟県の粟島(粟島浦村)は有人国境離島地域ではあるものの、特定有人国境離島地域としては特定されていない。この島でも人口減少が課題となっており(「粟島浦村人口ビジョン まち・ひと・しごと・まなび創生」2016、http://www.vill.awashimaura.lg.jp/wp-content/uploads/2017/01/bjon.pdf、2023年9月20日閲覧)、その意味では「地域社会の維持のための必要な施策」を講ずべき状況にはあるが、特定有人国境離島地域としての特定を受けていないのは、外交・防衛上の重要性や喫緊の課題に乏しいからであると考えられる。40 1964年に奄美群島振興特別措置法に、1974年に奄美群島振興開発特別措置法に改められて現在に至る。41 1979年に小笠原諸島振興特別措置法に、1989年に小笠原諸島振興開発特別措置法に改められて現在に至る。42 2002年に沖縄振興特別措置法に改められて現在に至る。43 2021年に制定された「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の73
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