教育評論第38巻第1号
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第 三条 国は、有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持の第 六条 国は、速やかに、我が国の領域、排他的経済水域等の保全等我が国の安全並びに海洋資源の確保及び利用を図る上で特に重要な離島について、その保全及び振興に関する特別の措置について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。 第 一条 この法律は、我が国の領海、排他的経済水域等を適切に管理する必要性が増大していることに鑑み、有人国境離島地域が有する我が国の領海、排他的経済水域等の保全等に関する活動の拠点としての機能を維持するため、有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する特別の措置を講じ、もって我が国の領海、排他的経済水域等の保全等に寄与することを目的とする。 る検討」として次のように定める。これを踏まえて2016年に制定されたのが有人国境離島法25である。目的として次のように掲げられている。 そして、国の責務として次のように定めている。ため必要な施策を策定し、及び実施する責務を有する。これに基づいて、有人国境離島地域では国の行政機関の施設の設置26や、国による土地の買い取り27、港湾の整備28などの保全施策を講ずることとなった。また、特定有人国境地域においては保全に加えて、財政上の措置29や航路・航空路運賃の低廉化30、生活や事業に必要な輸送コストの支援31、雇用機会の拡充32、安定的な漁業経営の確保33など地域社会の維持のための施策を行うこととされ、住民の実生活に対する支援が手厚くなった34。さて、2013年の離島振興法も10年の期限を迎えた。そして2023年に再び延長・改正された離島振興法35では、目的として「多様な再生可能エネルギーの導入及び活用」と「離島と継続的な関係を有する島外の人材も活用」(第一条)という文言が追加されるとともに、都道府県による離島市町村への援助の努力義務についても規定された36。関係人口について言及されたのは、総務省において2016年11月に設置され、2017年12月にかけて開催された「これからの移住・交流施策のあり方に関する検討会」(座長:小田切徳美/明治大学農学部食料環境政策学科教授)において、移住した「定住人口」でも観光に来た「交流人口」でもない、地域や地域の人々と多様に関わる者である「関係人口」に着目し、地域外からの交流の入り口を増やすことの必要性が議論される37など、「関係人口」への注目が高まってきていることを背景としていると考えられる。60

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