教育評論第38巻第1号
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日場参加者数高校生16名(うち静岡県内からの参加者2名)、教員スタッフ4名・ 事前学習会での課題設定を受け、追加資料として環境保全班には街中せせらぎ事業、三島市緑の基本計画(2003年)、観光班には観光マップ、三島市観光動態調査(2018年)、三島市インバウンド誘客戦略(2020年)、生活・まちづくり班には三島市第3次三島市都市計画マスタープラン(2022年)を共有した。型フィールドワークは、その性質上どうしてもスキルの習得が重視されるため、例えば凡例の色分けやインタビュー調査の基本的スキルなど、事前に簡単なガイダンスを行っておく必要がある。また、生徒の習熟度を見取った上での事前準備が必要なことは言うまでもない。3点目は、実際にフィールドに出た際に、学習の目的や生徒の実態を踏まえ、状況を見取った上で教師がサポートする必要がある点である。作業を実際に行ってみると上手くいかないこともあるが、敢えて生徒の気付きを生むために主体的な作業を見守るという方法もあるし、積極的に介入することでスキルの早期獲得を目指すという方法もある。そのような意味では、スキルの習得を重視する作業型フィールドワークは繰り返し実施することが望ましい。例えば、事前・事後学習の読図・作図作業を通して地図スキルを高める、総合的な探究の時間等と連携してアンケート・インタビュー調査の頻度を増やす、といった工夫も考えられる。探究型フィールドワークとは、生徒が自らの調査に基づき課題を設定し、教師の支援と助言のもと、自ら取り組むフィールドワークとされる(山本,2022,p.15)。探究的なアプローチをとるため、生徒自ら主体的に考え判断し行動する学習活動が中心となり、他のフィールドワーク類型と比べると自律的である。以下では、「水の都・三島を探究する−MISHIMA REBRAND−」と題して実施した静岡県三島市での探究型フィールドワークの事例を踏まえて、探究型フィールドワークで必要とされる教師による指導のあり方について論じる。まず、探究型フィールドワークでは、生徒自らがフィールドワークの課題を設定する必要がある。そこで、三島での現地フィールドワークの実施前に、あらかじめ遠隔会議ツールZoomおよびオンラインホワイトボードツールMiroを用いてオンラインでの事前学習会を開催した。地域概要について教師側が講義するとともに、生徒は他の生徒とのグループ活動を通じて現地フィールドワークに向けた課題設定を行なった(表5)。46表5  オンライン事前学習会(キックオフミーティング)の概要時2022年11月6日所オンライン会議(Zoom)14:00オンライン事前学習会開始(自己紹介、本日のグループワークの説明)→14:35グループ毎にブレイクアウトセッションに分かれ、Miroを使いながら課題設定を行いまとめる→15:50設定した課題の報告・共有→16:00終了・ 事前学習会に先駆けて、生徒には三島市役所公式YouTubeにおける三島紹介動画を提示した。また、各自の関心領域(環境保全、観光、生活・まちづくり)についてアンケートフォームで聴取し、これに基づきグループ分けをした。当日の行程表備考3.探究型フィールドワークでの指導1)フィールドワークの概要

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