C教諭の実践に対してA教諭は「どっかでやりとりみたいなことは、チーム同士のやりとりみたいなことは考えられてますか」と尋ねた。これに対してC教諭は「Can you explain this more to this team? とか、質問するんですけど、その回答を別のチームに振るというか。」と語り、事実に関する問いへの応答の際、詳細を英語で説明させる機会を設けたり、クラスメート全体に意見・考えを共有させたりする学習機会を設けていることが確認できる。時並行的に取り扱われていることが分かる。続いてA教諭がデモンストレーションを実施した。単元で取り扱う概念を「culture(文化)」とし、取り扱うテーマに「Sharing the planet(地球を共有すること)」を設定した。そして冒頭部分の学習活動として、「We can only save water if people stop taking showers.」のような短文を5つ提示し、それぞれの短文について自分なりの考えをtrue/falseで答えさせる活動を行うことを説明した。短文は平叙文の形式ではあるものの、生徒同士の議論を促すことを目的としていることから、事実上「議論を喚起する問い」として機能をもたせていることが特徴的である。学習活動の意図についてA教諭は「自分たちのもってるcommon senseみたいな感じで、True/Falseを自分で答えていって、そこに例えば、今みたいにFalseの場合、どうやってしたら正しくなるだろうとか、他の方法あるかどうかとか、そういうふうにふくらませるような形で、このTrue/Falseを使う」と語った。A教諭の語りにある、common sense(常識)を疑う、という学習は、Language Bの核となる概念である「culture(文化)」と符合し、true/false形式を採用することにより、生徒が議論をしやすい場を作ろうとしている工夫を行っていることがわかる。一方、A教諭の語りに対してB教諭は「文としては正しいかもしれないけど、現実世界でrealisticな文じゃないみたいな感じってことですね」と語った。B教諭の語りが意味するところは、単元で取り扱う概念は「culture(文化)」であるものの、同時並行的に言語特有の役割について概念である「context」に対する理解を深めている実践が行われている点である。最後にB教諭がデモンストレーションを実施した。単元で取り扱う概念を「connection(つながり)」として、題材(テーマ)として「experiences(経験)」を取り上げボランティア活動についての英文を取り扱った。提示された教材は、若者のボランティア活動に関する複数のパラグラフから構成された読解素材であった。読解素材には複数の空欄があり、空欄に語句を補う学習活動が中心に展開された。生徒役を務める2人の教師には「Gap fill questions using words you can find in the box here.」といった指示が出された。教材には前後の文脈から類推して語彙を挿入したり、文法的な要素を補って意味の通る英文を完成させたりするような工夫が施されていた。この活動のねらいとしてB教諭は、生徒達にLanguage Bの言語特有の役割について概念である「context(文脈)」を踏まえながら、英文の内容を把握する力の向上を目的としていると説明した。セッション1では、概念型学習モデルを適用した学習活動を明らかにした。概念型学習モデルを適用した英語授業では、問いへの応答が批判的思考を高める核となっているものの、結果として母語使用が誘発されてしまう指導方略から脱却しきれていないことへの■藤を抱いていること165.考察5.1.各セッションのまとめ
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