148各運動部活動の参加者データとして、全国高等学校体育連盟(2023)および日本中学校体育連盟(2023)に公開されている各部活動別の加盟者数を用いた。また、各部活動での事故統計として日本スポーツ振興センター(2012,2013,2014,2015,2016,2017,2018,2019,2020)が公開している「学校の管理下の災害」より各体育的部活動別の事故数のデータを用いた。なお、高等学校の野球部(硬式・軟式)についてのみ、日本高等学校野球連盟(2023a, 2023b)に公開されている部員数統計を参加者数として用いた。分析開始時点で公開されていたデータの年度(〜2021年度)のうち、対象とする期間は2011年度(平成23年度)から2019年度(令和元年度)とした。2010年度以前は「学校の管理下の災害」における体育的部活動集計期間の以降のものより短いためデータの対応がとれないことと、2020〜2021年度は、COVID-19禍による休校や部活動の制限、接触的活動の回避といった非常措置がとられていたことを勘案したためである。各部活動での年次別の事故発生率を明らかにするため、中学校での17部活動、高等学校での32部活動について、各年度で事故数を加盟者数で除した後100人あたりの事故発生率を算出した。例えば、2011年度の高等学校での陸上競技部の加盟者数は102,049人(全国高等学校体育連盟,2011)であり、事故数は6,345件(日本スポーツ振興センター,2012)である。したがって、100人あたりの事故発生率は6,345÷102,049×102≒6.22となり、100人あたりおよそ6件の事故が発生していることを示す。上記の手続きにしたがって各部活動の年次別事故発生率を算出した後、年次的推移が増加あるいは減少の傾向にあるかを調べるため、Cochran-Armitage検定を行った。Cochran-Armitage検定は、連続的な外的変数に対して割合の変化が線形傾向にあるかを検定する手法であり、本研究では年次の変化に対して事故発生率の変化が減少あるいは増加傾向であるかを確認する手続きであると言える。また、発生率のパターンが部活動の種類や学校種によって異なるかを明らかにするために、二つの分析を行う。第一に、各学校種でクラスタ分析を行い、部活動を類型化する。その後、得られたクラスタ毎の事故発生率の変動パターンを分散分析によって明らかにする。第二に、事故発生率のピークがどの年度にあるかの分布を調べる。なお、各学校種での体育連盟の区分と「学校の管理下の災害」は区分が若干異なっている。そのため、全国高等学校体育連盟での「水泳部(競泳)」「水泳部(飛込)」「水泳部(水球)」は合算して学校の管理下の災害での「水泳部」に対応させた。同じく、「テニス部」「ソフトテニス部」は「テニス部(含ソフトテニス)」に、「体操部」「新体操部」は「器械体操・新体操部」に合算して対応させた。対応させた部活動はそれぞれ「水泳部」「テニス/ソフトテニス部」「体操/新体操部」と表記した。また、高等学校での「少林寺拳法部」および中学校での「アイスホッケー部」は、「学校の管理下の災害」には区分が無いため、分析から除外した。加えて、日本中学校体育連盟の調査では、「参考競技」として示されている、日本中学校体育連盟には登録2.方 法2.1.対象データ2.2.分 析
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