教育評論第38巻第1号
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130このTAの数をどう判断するかは、大学院在学生数の推移を表わす図1と照合する必要がある。2002 (H14)年度からの3か年と2014(H26)年度ではTAの全体に占める割合は大きく変わらないが、公立大学(0.38)および私立大学(2.70)と比較して国立大学(5.40)での伸びが確認できる。また、図1における同時期を確認すると大学院在学生数は全体として微増しているものの、課程によっては減少傾向も確認できる。このことから、表1と図1を踏まえると、大学院在学生数は大きく変わらないものの、国立大学を筆頭にTAの活用は全国的に推進されつつあることがうかがえる。次に、TAの数が十分であるかを確認するためには、TAの総数と学部生の総数に対する比率も確認する必要がある。表2は大学入学者数の推移、表3は学生数(在籍者数)の推移である。在籍者数については、2010年度以前は5年ごとの集計であるため、図1と全て対応するデータではないが、概ね傾向は把握することができる。在籍者数に合わせて入学者数を提示したのは、TAの対象学生が初年次対象の科目であることが多いためである。これらのデータから分かることは、少子化にもかかわらず、進学率が上昇しているため、入学者数、在籍者数も増加傾向にある。そのため、TAの数も増やす必要があることが推察され、更には、進学率の上昇は、サポートの必要な学生数の増加につながる懸念もある。一方で、図1からわかるように、大学院在学生数は近年減少傾向にあることから、今後TAの確保が難しくなることも予想される。この点について佐藤(2019)は、学部生の数に比較して大学院生の割合が少なく、関西大学、立命館大学、千葉商科大学等、教育活動への支援に対するニーズに応えられない大学では、SA制度を導入していると報告する。今後、大学院生数の減少に伴うTA不足を見越し、学部生によるSAの育成にも注力していく必要性があるだろう。注)文部科学省(2016)より引用。図1 大学院在学生数の推移

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