なお、ISFは1930年5月、創立以来約6年間の活動をまとめたパンフレットを出版したとの報道があり10、“Fellowship Notes”という定期刊行物(ニュースレター類か)も発行していたようであるが11、いずれも現時点で未発見である。今後の発掘を期したい。本章ではISFの設立目的・沿革・参加校等について整理し、どのような活動が行われていたかを概観する。その際、ISF自身が発行したオフィシャルな文書が入手できていないため、本稿2.3に挙げた日刊紙を中心に、各種の報道記事を集成する形で実像に迫ることにする12。する知識を他国の間に広めるべく支援する(3)理想的社会秩序の確立のために努力する最初の会合は1924年6月7日セントジョンズ大学で開かれた。書院教授の坂本義孝が、ニューヨークに設立された International House(通称I-House)──世界各地から集まる留学生のために宿舎と民族宗教国籍を超えた交流と相互理解の場を提供した──14について紹介し、上海にも同様の国際的学生交流団体を組織しようと呼びかけたのがISFの始まりであった。当日の出席者の中にはH. P. Shastri(1853−1931)とその同志らの姿もあったという15。その後9月20日、30日の設立準備会議を経て10月4日、アメリカンスクール(Shanghai American School;略称SAS)にて第1回例会を開催。1915年FOR創設の生みの親であり中国FORに当たる唯愛社の設立代表として当時上海を拠点に活躍していたヘンリー・ホジキン(Henry T. Hodgkin;中国名=霍徳進。1877−1933)が招かれ、国際主義運動(international movement)の意義について講演を行った16。主な活動内容としては、本稿のはじめにも触れたように、講演会やテーマを設定してのディスカッションから、音楽、演劇、ダンス、ピクニック等のレクリエーションに至るまで、硬軟取り953.ISFについて3.1 設立目的3.2 沿革3.3 参加校・会員3.4 活動内容ISF設立の目的としては次の3点が掲げられていた13。(1)国際間の友誼と相互理解を促進する(2) 国際主義的活動を奨励し、あらゆる可能な手段をもって各国/国民[every nation]に関ISFの設立当初、構成メンバー校(各支部が設けられた)はセントジョンズ大学(St. John’s U.)、アメリカンスクール(SAS)、中西女塾(McTyeire School)、そして書院の4校であった。これ以外でも、上海の学生(大学、中学・高校)であれば国籍・性別等を問わず、誰でも会員資格を有し、スタート当初100名ほどであった会員数が、3ヶ月後の1924年12月には150名を超えた17。
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