吐噶喇列島3琉球諸島■南諸島鳩間島図1 南西諸島 地図後に述べるように、地理的には奄美群島に近い硫黄鳥島が沖縄県の管轄であることには政治的な理由がある。そしてもっと言えば、沖縄が日本の領土とされたのは1879年に沖縄県が置かれてからのことであり、それを清国が認めるのは1895年の下関条約を待たねばならない。硫黄鳥島が「日本」であるのは歴史的に自明なことではないのである。日本列島で展開された歴史は、「辺境」を「とるに足らない」地域、「例外的な」地域として切り捨てては理解できないが、一方で、現在の国境線を国土の最終形態として捉え、そこへ収斂していくように考えることもまた、貧しい歴史理解であろう。しかし一般の歴史認識を反映するかのように、歴史教科書では琉球王国がかつて「異国」であったことは指摘されているものの、南西諸島内部における奄美・沖縄・先島の差異や、南西諸島内で境界が引かれてきた歴史(すなわち南西諸島の歴史的な「境界性」)を認識させる配慮はなされていない。本稿は、「日本」の「南」の境界4の変遷を追いながら南西諸島5と「日本」との関係の歴史的展開を明らかにすることで、「境界性」を考慮することなく境界地域を国土として自明視する認識の相対化を目指すものである。30°00■魚釣島尖閣諸島25°00■与那国島西表島波照間島宮古島沖縄諸島宮古諸島八重山諸島鳥島久米島渡嘉敷島慶良間列島久場島多良間島石垣島石垣鹿児島県太平洋沖縄県奄美大島大隅諸島黒島薩摩硫黄島奄美諸島([福田 2022]より一部改変)屋久島口之島中之島諏訪之瀬島悪石島宝島小宝島喜界島加計呂麻島硫黄鳥島徳之島沖永良部島伊平屋島伊是名島与論島粟国島渡名喜島那覇沖縄島鹿児島竹島西之表種子島北大東島南大東島大東諸島沖大東島東シナ海
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