早稲田教育評論 第37号第1号
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含まれる。〈取上げる理由〉・我が国の文化において漢文が大きな役割を果たしてきたため。・日本人の思想や感情などが漢語や漢文を通して表現されてきたため。〇近代以降の文語文や漢詩文時代的な範囲では古典に含まれない、近代以降にあっても、古典の表現の特色を継承した優れた作品や文章など。近代以降、日本人によってつくられた漢詩文も含む。〈取上げる理由〉・近代以降にあっても、古典の表現の特色を継承した優れた作品や文章などがあるため。・それまで「現代文」で扱われていた小説等にも、漢文の影響を受けた作品があるため。 内容の〔思考力、判断力、表現力等〕の「A読むこと」の教材は,古典としての古文及び漢文とし,日本漢文を含めるとともに,論理的に考える力を伸ばすよう,古典における論理的な文章を取り上げること。また,必要に応じて,近代以降の文語文や漢詩文,古典についての評論文などを用いることができること。(4「内容の取扱い」の⑶のア)「日本漢文」を含めることは「言語文化」と同様であるが、「古典探究」では新たに「古典における論理的な文章を取り上げること」を求めている。これは、前述「中央教育審議会(答申)」の、「文章を読んで根拠の明確さや論理の展開,表現の仕方等について評価することなどに課題がある。」6を踏まえたものである。具体的な教材として、「古文の歌論や俳論などの評論、漢文の思想など」7を例示している。その他の教材例も学習指導要領解説に詳しく示されているので整理して示す。〇「古典探究」で取り扱う教材例・古典としての古文及び漢文(古文は,和歌,俳諧,物語,随筆,日記,説話,浮世草子,能,狂言,評論など,漢文は,思想,史伝,詩文など)中国古典作品を含める全体の傾向としては、そのほとんどが従前の共通必履修科目「国語総⑵「古典探究」次に、「古典探究」について見ていく。「古典探究」は、「言語文化」で育成された資質・能力のうち、「伝統的な言語文化に関する理解」をより深めるため、いわゆる古典の範囲の学習を対象とした科目である。これも科目名が示すように、「探究」することによって古典を主体的に学ぶことに主眼が置かれている。どのような教材を取り扱うかについては次のとおりである。3.漢文採録教材の新旧比較⑴「言語文化」の採録教材科目改変に伴い、どの科目にどんな教材が採録されるかにも関心が集まる。各科目で用いる教材は、その科目の育成を目指す資質・能力に資するかどうかに依る。そこで、「言語文化」の具体的な採録教材を見ていきたい。79

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