早稲田教育評論 第37号第1号
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─ 表現を優先させるという現代的な外国語教授法にヒントを得た、直接的、実践的、かつ生き生きとした新たなフランス語学習の方法を導入すること。─ 教育の「農村化」とは、アフリカの子どもたちの大多数が住む農村の環境に教育を適応させることを意味する表現である。それは、環境の中から教育の源を見出すという教育的内容の転換を伴うのみではない。子ども達に、理論的・実践的な訓練を同時に行い、知識とノウハウを与えるという観点から、ジェスチャー教育と同時に考えだされた手先の感覚運動を子どもの知的訓練の基礎とすることを目的に、教育方法の再検討も進めている。―――――――― 表5は、1966年度当時実施されていた、教育の農村化に向けた取り組みである。中等教育では多くの国で対策が取られていないが、ダホメでは、中学校に当たるコレージュが、農業教育により特化した現代農業コレージュへと改編されている。同じくダホメの初等教育では、学校内に学校菜園を設置することで、教育の農村化に向けて取り組んでおり、同国では、農業教育を主軸として教育の農村化が試みられていたことが分かる。初等教育においては、ニジェールで行われた表5 教育の農村化に向けた取り組み(1966-1967年度)初等教育学校菜園農村化プロジェクト―リカの「すべての国が、フランスの技術支援を主として、国際機関(ユネスコ)の助けも借りながら、また時には他の外国の二国間援助による非常に限定的な支援も受けながら」教育内容をアフリカに適応させることを推進してきたとし、教育内容や教授法に関する主な取り組みとして、以下の二点が挙げられた。フランスの教育に関する援助では、外国語としてのフランス語教育を支援するという方法で、教育を現地に「適応」することが目指されている。また教育の「農村化」に関しては、アフリカにおいて農業従事者が多いことから、手先をつかった感覚教育を取り入れることが検討されている。ただし、こうした抽象的な検討内容がどの程度現実の教育実践に反映されたかは、上記答申からは読み取ることができない。52ダホメコートディヴォワール内容と方法の統合的な試験的改訂マリモーリタニアニジェールセネガルオート・ボルタ出所: Avis no17 par M. Adolphe CHAUVIN, présenté au nom de la Commission des Affaires culturelles, sur le projet de loi de finances pour 1968, Adopté par l’assemblée nationale, Annexe au procès-verbal de la séance du 14 novembre 1967, pp.34-37より著者作成。※「―」は記載なし。 UNESCOのプロジェクト一般コレージュの現代農業コレージュへの改編中等教育

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