註1 文部科学省『小学校学習指導要領(平成29年3月告示)』東洋館出版社、2018年、19頁および22頁、同『中学校学習指導要領』(平成29年3月告示)東山書房、2018年、21頁および24頁、同『高等学校学習指導要領』(平成30年3月告示)東山書房、2019年、20頁および28頁。2 文部科学省『小学校学習指導要領(平成29年3月告示)』東洋館出版社、2018年、22頁。3 文部科学省HP「学校におけるICT環境の整備について(教育のICT化に向けた環境整備5か年 (https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1402835.htm 2022年8月24日取得)。4 文部科学省『文部科学白書(令和元年度)』株式会社サンワ、2019年、26頁。5 荒川区において、ICT教育とは「タブレットPCや電子黒板等のICT機器を活用して教育活動を行うこと」と定義している。ICT機器の操作方法だけでなく、活用を通じて児童生徒に「21世紀型能力」や情報モラルを身に付けさせることを目的としている。めて重要であることを再認識させられた。とりわけ、ICTのスキルを有しているだけではなく、授業についても豊かな実践的経験を持っている教員がキーパーソンとして、ICTの効果的な利活用の促進においては大切であることを指摘しておきたい。荒川区では学校に登校ができない生徒に対しても、オンラインを活用して個別指導を行っており、学びを止めない、一人も取り残さないという努力がなされている。特別支援学級でもタブレットPCを活用しながら、児童の興味を惹く授業の展開が試みられていた。教育の公平性という観点から注目できるのではなかろうか。ただし、タブレットPCを活用しての授業への取り組みが意欲的におこなわれているが、教材開発、教育プラットフォームの構築や教員研修など、今後に残された課題もある。一方、第二部では、中国における学校現場におけるICTの活用の現状と課題について、政策全体の動向を紹介した上で、個別の事例として上海市、江蘇省連雲港市、安徽省蕪湖市、山東省日照市を取り上げながら論じてきた。中国では、教育プラットフォームの構築も進み、コロナ休校に対しても学習の遅延を最小限に抑える対策が取られていた。教員研修も充実している。教育プラットフォームの構築やビッグデータの蓄積と教材開発は、今後、日本のICT教育の推進においても参考になると思われる。ただし、中国の場合、タブレットPCの児童への配布は進んでおらず、児童生徒のタブレット一方中国では、地域格差の是正ということから、都市と農村とを結んでの遠隔教育が実験的に取り組まれている。しかしながら、必ずしも農村の実態にあったコンテンツが提供されているわけではない。また、教育における多様なアプリが開発されているが、アプリの購入における経済格差が教育格差を生んでいることも指摘されている。本研究では、日本及び中国の事例調査を通じて、ICTの活用における課題を検討してきたが、今後、継続的な追跡調査を行い、ICTを活用しながら「公正で質の高い教育」実現に向けて学び合う共同体をどのように創るかという問いに対する答えを探究していきたいと考える(分担執筆:小林(新保)敦子、長島啓記)。192計画(2018(平成30)〜2022年度))」よりPC活用のスキルの向上ということでは、課題があるように思われる。
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