K中学校では、ICTの活用によって職員会議のペーパーレス化にも取り組んでいる。しかし、現時点では印刷費の削減にはなっているものの、業務自体の負担軽減までには至っていないという。第二部 中国におけるICT教育の現状と課題一、中国におけるICT教育の背景二、中国におけるICT環境への取り組み 1.学校におけるICT環境の整備方策 (1)国家戦略としての教育情報化(ICT化)の展開るなどしているという14。生徒は、小学校の段階でタブレットPCの基本的な操作方法は学んでおり、操作に大きな戸惑いはないため、中学校の段階では、ICT機器の活用によって「主体的な学び」を展開していくことができるよう効果的な活用方法を模索している段階にあるといえる。(分担執筆:谷口利律:1(1)、2(1)、2(3)、山口香苗:1(2)、2(2)、2(4))中国において、1980年代からの経済改革をきっかけに、ICTを活用した教育は、効果的な授業技術の一つとして注目されつつある。その要因として、社会的側面が挙げられる(付・林2006)。情報化の普及に伴って、2006年から、CERNET(Chinese Education under Research)という「教育情報ネットワーク」が全面的に推進されている。さらに、中国インターネット情報センターの統計によると、2020年3月時点でユーザー数は9億人に増加し、人口普及率は64.5%となっている(藤田2020)。インターネット人口に占めるスマートフォン利用者の割合は、2016年にかけて急速に上昇し、2020年3月時点では99.3%とインターネットユーザーのほぼ全員がスマートフォン利用者であると報告されている。2010年に中国共産党中央委員会、国務院が公布した「国家中長期教育改革および発展計画綱要(2010-2020)」では、 教育情報化が国家の発展戦略に組み入れられた。教育の公平な発展と質の向上のため、教育部は2011年に「教育情報化10カ年計画(2011-2020)」を公布し、情報基盤となる「三通二平台15」を目指してきた。また、「教育情報化第13次5カ年計画(2016-2020)」(2016年)に基づき、教育情報化システムの構築が推進され、教育部は「教育情報化2.0行動計画」(2018年)を公布し、「三全両高一大16」の構築を2022年までの基本目標に掲げている(澤田2020)。 (2)通信ネットワーク整備やその管理の在り方教育部の情報技術教育指導組織が、全国レベルでの学校の情報化を指導している。また、ネットワークのハードウェア・通信品質を確保するために、教育部は学校の通信ネットワーク構築業者の資格認定システムを導入している。地方政府の教育行政部門は、地域内学校での情報教育を普及させるための実施計画の立案・通信ネットワークの構築を計画し、ネットワーク整備、運用・保守管理のための資金を負担し、専任の人員と予算を確保する。教育用ソフトウェアは、学校の教育特性やニーズに応じて、各学校181
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