O小学校ではタブレットPCの一人1台体制が取られ、電子黒板やモニター、電子教科書を適O小学校の学校経営目標の一つとして、確かな学び・魅力ある授業があり、2022年度は「新学習指導要領の目指す学びとGIGAスクール構想の実現に向け、一人1台の端末の活用、WITHコロナにおける子供の学びの保障と日常の学びの質の向上を実現する」ことを目標としている11。さらに、2022年度は荒川区教育委員会のICT教育に関する教育研究指定校となっており、タブレットPCを有効に活用するための校内研究を行い、教職員のICT機器活用への苦手意識の克服や、新型コロナウイルス感染症の拡大も考慮し、タブレットPCを家庭学習で有効に使用するための体制づくりに取り組んでいる。このように、O小学校では、タブレットPC等ICT環境を、「主体的で深い学び」の実現のための道具として位置づけるとともに、コロナ禍という状況を鑑み、家庭学習の道具へとその活用の範囲を拡大しようとしている。O小学校は、文部科学省のガイドブック(「児童生徒の健康に留意してICTを活用するあめのガイドブック」、2014年、2022年改訂)に基づきながら、タブレットPCは学習の時間以外には使わないこと、30分に一度は休憩をとること、画面から一定の距離を保つことという目標を保護者とも共有し、児童の健康に配慮しながらICT教育を進めている。S中学校では、タブレットPCを活用して、コロナ禍ではGoogle Meetを活用して授業を行い、現在でも課題や資料を提示する際に利用している。また、企業のオンライン教材でキャリア学習を行うなど、外部教材も取り入れている。いという利点があった。訪問した当日には、ICTに関する学校内の教員研修会が開催されていた。荒川区教育委員会のICT担当の指導主事を招いて、タブレットPCを使いながら、どのように授業を実施するのかといった教材研究が、事例発表とグループ・ディスカッションの方式で行われていた。ベテランの教員がアドバイスをしながら、熱心な教材研究が行われていたことが印象的であった。 2.O小学校宜活用して授業が進められている。授業では、タブレットPCを活用する際の学習支援ツールとして、リアルタイムで共有ができるGoogle For EducationやデジタルホワイトボードのJamboardを主に使用し、授業によって教材としてNHK for Schoolなども用いている。また、実技の授業では、タブレットPCを録画・撮影機器として活用し、例えば、体育のマット運動で自分の動作を録画し、後で確認してフォームの改善をしたり、音楽で教師が模範として録画した鍵盤の指づかい動画をスロー再生して練習していた(訪問時における参与観察)。授業を見学したところ、ベテランの教員がICTを活用しながら児童の興味を惹きつけ、考えさせる授業を行っていることが観察された。見学後の学校におけるヒアリング調査からは、授業のベテランであり、なおかつICTスキルを持った教員の重要性が浮かび上がってきた。ICT活用のスキルだけではなく、授業の実践的な経験の豊かさが、質の高い教育においては鍵となるのではないかという知見を得た。 3.S中学校179ICTの活用に関して、S中学校では、学習効率を高めるための補助的なツールとしてICTを活
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