早稲田教育評論 第37号第1号
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1,1209002,8008,5002,906567M小学校C小学校M中学校第一部 日本の学校教育におけるICTの活用一、ICTの導入をめぐる教育政策 1.日本のICT教育政策176金山区Q小学校上海市閔行区浦江鎮P中学校江蘇省連雲港市安徽省蕪湖市山東省日照市経済開発区G小学校本稿の構成であるが、第一部では、日本の学校教育におけるICTの活用について、荒川区を事例として、検討する。第二部では、中国における学校現場におけるICTの活用について、政策全体の動向を紹介した上で、個別の事例として上海市、江蘇省連雲港市、安徽省蕪湖市、山東省日照市を取りあげながら、現状と課題について論じていく。また、本研究では、紙幅の関係から、各学校における実態調査について、概要をまとめた形で整理してある。調査の詳細については、中間報告書(「ICTを活用した公正で質の高い教育のための基礎的研究」2022年2月発行、36頁)、最終報告書(2023年3月発行予定)を参照いただければ幸いである(分担執筆:小林(新保)敦子、長島啓記)。日本の学校教育におけるICTの導入に向けた本格的な取り組みは、近年、多方面から行われてきた。まず20世紀末から、教育の情報化に向けての議論が文部行政では始まっているが、2016年には、文部科学省によって「2020年代に向けた教育の情報化に関する懇談会」が開かれた。学校教育の教育内容に関しては、小学校と中学校、高等学校の新学習指導要領(2020・2021・2022年実施)において、情報活用能力を「学習の基盤となる資質・能力」として位置付け、ICT環境の整備と学習活動の導入を明記している1。高校では、2003年に選択必履修科目として設置された情報科が共通必履修科目となり、中学においても、2011年に必履修科目となった技術・家庭科の技術分野において、ネットワークを利用したプログラミングが新たに導入されるなど、学習内容の充実が図られるようになった。小学校においては、新たにプログラミング教育が必修化された2。学習環境をとりまく政策に関しては、この学習指導要領の改訂に先立ち、文部科学省が、「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画(2018〜2022年度)」を策定した(2018年4月)3。ICTを活用した教育環境の確立に関しては、2018年11月、当時の柴山文部科学大臣が、遠隔教育と教育への先端技術の導入を推進する「新時代の学びを支える先端技術のフル活用に向けて 〜柴山・学びの革新プラン〜」を発表した。このプランでは、2020年代の早期にすべての小・中・高等学校で遠隔教育を実施すべく、学校のICT教育環境の整備や、ビッグデータを活用する必要性が述べられている。このプランを踏まえ、「誰一人取り残すことのない、公正に個別最適化された28226015760168487155462198432022年6月23日〜24日2021年12月10日〜11日2021年7月23日2021年11月22日、24日出所:筆者作成

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