S小学校M小学校S中学校K中学校表1 学校の基本情報及び調査期間学校名クラス数22+特別支援3学級12148+夜間3学級キーワード:ICT教育、荒川区、GIGAスクール、中国、教育情報化、教員研修【要 旨】2020年の全世界的な新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、学校への登校停止によって、教育の「質」や「公正さ」の確保と維持に関心が高まるようになっている。そこで、本報告においては、危機的状況に対する学校現場の対応と課題から、いかにICTを活用しながら「公正で質の高い教育」の実現に向けて取り組むべきかを、日本および中国の個別事例について検討することを課題として設定する。本報告でとりあげる東京都荒川区は、教育の情報化に2005年から本格的に取り組み、2014年にタブレットPCの全校配布を実現した。そして、コロナ休校下において、双方向型の授業に関して多くの課題に直面しながらも、オンライン授業に積極的に取り組んできた自治体の一つである。一方、中国では教育におけるICT活用が進み、コロナ休校に対しても学習の遅延を最小限に抑える対策が取られている。また、教育におけるアプリの開発やビッグデータの活用についても、日本よりも熱心である。しかしながら、オンラインのアクセスにおける都市・農村格差といった問題が根強く存在していることも、指摘されてきた。本研究では、日中の小中学校におけるICT活用の実態を明らかにしつつ、公正で質の高い教育の実現のための課題を検証し、今後に向けての提言を行っていきたい。研究手法は、文献調査、現地でのヒアリング調査、参与観察に主に依拠している。調査においては、教員研修や、より条件に恵まれない児童・生徒へのフォローに目配りをしながら行った。日本での調査を通じて、ICTの実践的な活用が課題と考えられたため、中国においては、教員の協力によるデジタルコンテンツの作成、教育プラットフォームの構築などについても調査を行った。調査を実施した学校及び調査期間は、以下の通りである。中国の学校は概して日本よりも規模が大きい。地域東京都荒川区生徒数(名)教員数(名)75635305488292824336175調査期間2021年6月30日、10月27日2022年6月3日2021年10月27日2022年6月3日【研究報告】小林(新保) 敦子・長島 啓記・谷口 利律山口 香苗・万 静嫻・劉 琦周 珏・朱 奕雷・李 俐穎学校教育におけるICTの活用に関する一考察 ─日本および中国における事例調査から
元のページ ../index.html#181