早稲田教育評論 第37号第1号
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注(以下Webサイトの最終閲覧日は2022年9月22日)1 ベネッセ教育情報サイト「高校からの『大学附属校』志望者が増えている理由」(2018/05/25)付記:2 「高三になっても部活や行事や趣味と学業を両立しながら,進路についてじっくり考える時間もある」おおたとしまさ『大学付属校という選択』,日本経済新聞出版社,2016,p.19.3 駿台予備校/駿台中学生テストセンター「大学附属・系列高校の魅力」,晶文社学校案内編集部『首都圏私立高校大学附属校ガイド 2020年度用』,晶文社,2019,p.6.4 本稿では、附属・系属高校との連携関係がある特定の大学を系列大学とする。5 中央教育審議会『新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育,大学教育,大学入学者選抜の一体的改革について─すべての若者が夢や目標を芽吹かせ,未来に花開かせるために─(答申)』,2014.6 安田賢治「付属校の『内部進学力』」『東洋経済』10/30号,2021,pp. 80-81.7 土田健次郎「中高系列化の意味と課題」『大学時報』No.323,2008,p.40.8 吉田文「大学と高校の接続の動向と課題」『高等教育研究』第14集,2011,pp. 169-181.9 附属校・系属校生の学習に関する先行研究としては沈雨香・武藤浩子の「私立大学附属・系属高校生徒の学習に関する研究 ─大学進学ルートの違いに着目して─」(『早稲田教育評論』第36巻第1号,2022,pp.71-86)がある。的な生徒群が存在し、附属・系属校生の中で内部分化が起きていた。その内部分化を引き起こす要因については、今後の附属・系属校研究の課題としたい。最後に、本稿の限界について記載する。本調査の対象である附属・系属校は選抜性が極めて高く、生徒たちは高校入学時に厳しい選抜を経ている。それゆえに、ある程度学びの習慣が身についており、その自律性から課外活動が学習を妨げる要因にならない、という特徴が顕在化している可能性は否めない。「課外活動への参加が学習時間を減らさない」という結果をより詳細に考察するためには、今後公立高校を含めた追加調査が必要となる。さらに、私立高校の中でもごく一部の附属・系属校の特徴を論じるためには、そのほかの私立高校との比較も求められるだろう。本稿で得られた知見を深めるためには、偏差値、学校の設置主体、地域性などを鑑みた「一般の高校生」を対象とした調査結果を踏まえて一般化する必要がある。本調査で得られた結果が附属・系属校生ならでは特徴であるのか、あるいは偏差値がある程度高い高校生全体の特徴なのか、その点は追加調査で明らかにしたい課題である。他方で「高校生の課外活動と学習時間の関係」を明らかにするための試金石として、選抜性の高い附属・系属校の複層的な結果を提示した点に本稿の意義を見出したい。本稿は、早稲田大学教育総合研究所研究部会「グローバル時代における高大接続に関する研 究:大学附属校・系属校を対象として(代表:吉田文)」(2019年度:B-11、2020年度:B-3)、 および「私立大学附属高校が大学進学者にもたらす影響に関する研究─高大連携教育と内部進学制度に着目して─(代表:吉田文)」(2021年度:B-10、2022年度:B-5)の研究成果の一部である。156https://benesse.jp/juken/201805/20180525-1.html

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