7.考察と今後の展開図7 通塾×課外活動有無別 週末の平均学習時間(時間)ては課外活動の有無が平日の学習時間と関係がない可能性が示唆された。さらに、週末の学習時間についても同様に4つの群の平均学習時間を出した(図7)。その結果、無活動群で1.53時間49、課外活動のみ群で1.89時間50、通塾のみ群で2.58時間51、両立群で2.64時間52となった。各群の週末の平均学習時間の差異を確認するために分散分析を行ったところ、有意な差が示された(p<.001)53。図7より、通塾なしの「課外活動のみ」群と「無活動」群との比較では、課外活動を行う生徒の方が週末の学習時間が0.36時間長い結果となった。これは統計的にも有意であり(p<.001)、通塾していない生徒については、課外活動を行っている方が週末によく学習していることがわかった。一方通塾ありの群では、「両立」群の方が「通塾のみ」群よりもわずかに(0.06時間)学習時間が長かったものの、図6と同様に有意差は見られなかったため、通塾群においては課外活動の有無は週末の学習時間にも関係がない可能性が示唆された。以上の結果より、週末の学習時間に関しても平日の学習時間と同様の結果が得られた。すなわち、週末においても課外活動が学習を妨げないことが明らかになった。***p<.001本稿では、附属・系属校生の学校外での学習活動と課外活動への参加傾向について、一般の高校生および附属・系属校生内部の比較によって分析した。一般の高校生の過去の調査結果との対照について、学校外での学習活動については附属・系属校生の通塾割合が34.2%であり、ベネッセ東大共同調査の27.7%と比べ決して低くない結果となった。これは、附属・系属校生は大学への進学が保障されているために高校入学後に勉強をしなくなる、という一般論への反証になり得る。ただし、4章で言及したとおり、附属・系属校生の平日の平均学習時間は一般の高校生全体の平均値よりは長いものの、ベネッセ調査における進学校(高偏差値)の高校生と比べると短い結果であった。このような結果となった解釈として、本調査の対象である附属・系属校の偏差値が高いため、高校入学時にある程度学びの習慣を身に着けた生徒が選抜されており、その結果大学受験のプレッシャーが弱い附属・系属校でも一定の学習時間が確保されている、と捉えることができる。この点についてより詳細な検討を行うためには、選抜性の低い附属・系属校を対象とした追加調154課外活動のみ群***
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