早稲田教育評論 第37号第1号
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6.通塾と課外活動への参加図4 課外活動への参加有無×平日の学習時間0時間の割合課外活動を行っている生徒の方が学習時間が長い結果となった38。さらに、週末の学習時間では、課外活動なし群で1.83時間(SD=1.702,N=1,289)、あり群で2.17時間(SD=1.674,N=2,640)と、同様の傾向が確認された39。以上の結果から、附属・系属校生に関しては、課外活動への参加は学習時間を短縮させず、むしろ課外活動に取り組む生徒の方が学習にも積極的である傾向が確認された。ただし、これは「附属・系属校生は、勉強にも課外活動にも積極的である」という全体の傾向を示すものではない。図4は、平日の学習時間の有無(0時間か1時間以上か)と課外活動への参加有無をクロス表でかけ合わせ、その結果より平日の放課後に学習を全くしない(0時間)群を抜粋し、各課外活動の参加有無別に表したものである。χ2検定を行った結果、スポーツクラブのみp<.05、表現活動と地域行事がp<.01、ボランティア活動と音楽教室とミュージアム訪問がp<.001で統計的に有意であった40。図4より、全ての課外活動において、不参加群の方が参加群よりも平日の学習時間が0時間である割合が高いことが確認された。このことから、課外活動に参加していない生徒の方が学習時間0時間の割合が高い、すなわち課外活動に消極的である群が学習にも積極的ではない傾向にあるという結果が得られた。以上の分析から、附属・系属校生においては、課外活動への参加が学習時間を短縮させているとは言えず、むしろ課外活動にも学習にも意欲的に取り組む群と、放課後の活動のいずれに対しても消極的な群の両群が存在する可能性が示された。***p<.001,**p<.01,*p<.05前章では、附属・系属校生の課外活動への参加と学習時間の関係について分析し、課外活動への参加が学習に対してネガティブに働かないことがわかった。では、新たに通塾の有無という指標を加えた場合に、同様の結果が得られるであろうか。つまり、塾に通っていることで必然的に学習時間が伸びている生徒が、他の課外活動にも積極的に参加しているのか。本章では、まず通塾している生徒とそうでない生徒の各課外活動への参加有無を確認する。さらに、複数の課外活動をかけ持ちしている生徒の割合について、通塾している生徒とそうでない151

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