4.附属高校生の学校外での各種活動4−1.学校外での学習活動への参加 データ概要を提示する。本調査は、首都圏にある私立X大学の複数の附属・系属高校を対象として行った。多くの私立大学が附属・系属校を設置する現状で、系列大学の選抜性が高くない附属・系属高校の場合には推薦制度により系列大学に進学する者は少ないと考えられる26。そこで本稿では、大学附属・系属校の特徴である内部進学制度が積極的に利用されている高校、すなわち私立大学の中でも選抜性の高い私立X大学の附属・系属校を対象とした。調査実施にあたって、調査実施主体『グローバル時代における高大接続に関する研究』共同研究チームが各高校の教員に調査協力の依頼を行い、最終的に調査への協力が得られた学校は6校であった。対象の6校はそれぞれ所在地(3校のみ関東地域)、共学有無(6校のうち5校が共学で男子校が1校)などの違いがあるものの、共通する特徴として、6校すべてが受験偏差値上位のいわゆる「進学校」であること、そして、年間の学費が100万円ほどであることから、家庭の社会経済的背景(SES)が高いことが予想されることが挙げられる。 質問紙調査は、共同研究チームが調査票を各校に送付し、教員がホームルーム等で生徒に任意回答を求める形で実施された。調査時期は2019年9月から10月であり、調査内容は、当該校への進学理由、大学進学方法の希望(附属・系属校推薦、一般入試など)、授業以外の学習時間数、大学進学に関する意識(進学のために努力する必要があるか)、学習への意欲、学校外での課外活動などが設定された。最終的に、4,081人の生徒から回答が得られた。悉皆調査が行われた5校の在学生徒数は4,122人(2019年度)で、調査表配布数4,122票、回収数3,932票、有効回答率は95.4%である。標本調査が行われた1校の回収票は149票と2019年度在校生の1割ほどであった。本稿では、そのうち有効回答票3,998人分のデータを分析対象とする。なお、6校の附属・系属校のうち3校は内部推薦で系列大学にほぼ全入する学校、残りの3校は系列大学への内部推薦者が校内選抜される高校と、系列大学への進学保障について差はあるものの、本研究では大学の附属・系属校に通う生徒の学校外での各種活動への参加傾向を広く捉えることを目的とするため、これらを分けずに分析する。本章では、附属校に通う生徒を対象にした本調査の「学校外での各種活動」の回答結果を提示する。具体的には、①附属・系属校生の学校外での学習活動(通塾)への参加状況、②附属・系属校生の課外活動への参加状況、③附属・系属校生の男女別の課外活動への参加傾向を見ていく。先述のとおり、学研調査で「習い事」の中でも特に参加の割合が高かったのは「受験のための塾・学校の補習のための塾」27.7%、「通信教育」12.7%、「英会話」5.5%で、一般の高校生は学習に関する活動に積極的であることが示された。翻って、附属・系属校の生徒の学校外での学習活動への参加状況を見てみる。表1は「学習塾」「AO入試対策の学習塾(AO対策塾)」「英会話教室」の各学習活動への参加の割合を4件法で尋ねた結果である。146
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