早稲田教育評論 第37号第1号
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3.附属・系属校生を対象とした調査概要加は通塾に比べてハードルが高い、一般の高校生像」を補足する結果である。学研調査によると、一般の高校生のスポーツへの参加率8.3%、音楽教室5.2%、表現活動3.9%であった21。学年別で見てみると、1年次の参加の割合はスポーツ7%、音楽教室6.5%、表現活動2.5%、2年次はスポーツ10%、音楽教室4%、表現活動6%であり、3年次はスポーツ8%、音楽教室5%、表現活動3.5%と、音楽教室を除いて3年次の方が2年次よりも参加率が低下している。スポーツと表現活動は1年次よりも2年次の方が高く、3年次で減少していた。他方で音楽教室は1年次が最も高く2年次で減少し、3年次には微増していた。このように活動ごとに傾向が異なるため一概には言えないものの、一般の高校生は3年次には習い事を控える傾向がある可能性が確認された。次に、図1をもとに一般の高校生の男女別の習い事の傾向を見てみる。「スポーツ」では男子の参加12.3%、女子4.4%であり、男子の方が積極的にスポーツを行っていることがわかる。また、「音楽教室」では男子2.7%、女子7.7%と女子の方が音楽教室に通っており、「表現活動」についても同様に、男子2.3%、女子5.7%と女子の方が積極的に参加している傾向が見られた。「音楽教室」と「表現活動」はいずれも文化的な要素を含む活動という点で共通しており、男子の課外活動にはスポーツが選ばれる傾向が高く、女子の課外活動には文化的活動が選ばれる傾向が高い結果が示された。つまり、性別によって課外活動のすみ分けがなされていると言える。また学研調査には「ボランティア活動への参加」の有無を尋ねた項目が設置されており22、その結果を見ると、ボランティア活動に参加する高校生の割合は16.5%、男女別に見ると男子19.7%、女子13.3%と、男子の方が女子よりもボランティア活動に積極的な傾向が確認された23。そのほか、ミュージアム訪問について一般の高校生を対象としたデータでは、2015年にベネッセが高校3年生を対象に行った調査24において、訪問経験ありの生徒の割合は27.5%であった25。以上、一般の高校生の課外活動の傾向を確認してきた。ベネッセ調査からは、進学校の生徒の家庭学習時間がその他の高校生よりも長い傾向にあることがわかった。また、ベネッセ東大共同調査より、高校段階で課外活動への参加が中学段階に比べて半減することが確認された。学研調査では、学習活動も含めた各種習い事の中で最も参加割合が高かったのが「受験のための塾・学校の補習のための塾」であった。これらの結果より、一般の高校生にとって学習に直結しない課外活動への参加は、通塾に比べてハードルが高い傾向が見られた。また、課外活動について、男子の習い事はスポーツが選ばれる傾向があり、女子の習い事は文化的活動が選ばれる傾向がある、すなわち性別によって課外活動のすみ分けがなされている可能性が示唆された。また、ボランティア活動への参加については、男子の方が女子よりも積極的な傾向が見られた。一般の高校生にとって、課外活動への参加が通塾に比べて消極的な背景には、課外活動への参加が受験勉強を阻害する、という認識があるように推察される。前章では過去の調査結果をもとに一般の高校生の学外学習や課外活動への参加傾向を分析した。ここからは、附属・系属校生を対象に行ったアンケート調査結果(本調査)をもとに、より詳細に生徒たちの放課後活動を分析する。そのために、本章ではまず分析対象となる本調査の145

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