早稲田教育評論 第37号第1号
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h201809/index.html.138また理科の高得点層に限ると7%となることを示している。どのような生徒を対象とするかによって、大学院進学希望率は変わってくるものと考えられるが、中学生よりも、大学進学がより現実味を持つ高校生のほうが、大学や大学院への進学希望が明確になるのではないかと考えられる。2 この調査は、全国の高校生(1〜3年)600名へのインターネット調査として実施されている。 3 ベネッセ(2015)の調査では、公立高校普通科の高校2年生を対象としており、四年制大学までを希望する生徒は71.0%、大学院までを希望する生徒は12.3%であった。実際の大学進学率と比較すると、この調査では、ある程度学力の高い生徒が調査対象となっていると考えられる。 4 高校時と大学での成績の関連については、中西(2017)でも明らかにされている。中西は、パネルデータの分析により、高校3年時の成績が、大学の成績に影響を与えることを示した。この分析では、高校3年生を対象に行われた第1回調査(2005年11月実施)と第5回調査(2009年12月実施)の2時点データを用いている。 5 村澤(2020)は、SSM(社会階層と社会移動調査研究会)2015年および2005年のデータを用いて、大学院進学には、父親の学歴と中学3年生時点の成績が影響を与えることを示している。 6 対象とした高校は私立高校であり、公立高校と比較すると授業料も高いことから、家庭の社会経済的背景(SES)はある程度高いものと考えられる。 7 学習時間については、ふだん、学校での授業以外に1日に何時間くらい勉強しているか、学習塾や予備校、家庭教師について勉強する時間も含めて尋ねた。教科学習への意欲などについては、「まったくあてはまらない」「あまりあてはまらない」「ややあてはまる」「よくあてはまる」の4件法で問うた。図書館(学校図書館)利用については、「ほぼ利用しない」「1学期に1〜2回」「1か月に1〜2回」「1週間に1〜2回」「1週間に3回以上」で問い、それ以外の学校外での活動については、「全くしない」「年に1回程度」「半年に1回〜月に1回程度」「2週に1回以上」の4件法で問うた。 8 平日の学習時間については、全学年で大学学部と博士課程間で有意差がみられ(1年p<.05、2年p<.001、3年p<.001)、また、修士課程と博士課程では2年(p<.05)と、3年(p<.001)で有意な差が示された。 9 「キャリア関係に意欲的」の質問文は、「高校の授業とは関係ないが、将来のキャリアに役立ちそうな事に意欲的に取り組んでいる」である。 10 探求的な学習に関する発表会を経験した生徒249名のうち、大学学部までの進学希望者は162名、修士課程への進学希望者53名、博士課程への進学希望者34名であった。 参考文献学研教育総合研究所,2018,「高校生白書Web版」https://www.gakken.co.jp/kyouikusouken/whitepaper/中央教育審議会大学分科会,2018,「2040年を見据えた大学院教育の体質改善〜社会や学修者の需要に応える大学院教育の実現〜(審議まとめ(素案))関連データ」https://www.mext.go.jp/con-tent/1423020_008.pdf.中央教育審議会大学分科会,2019,「2040 年を見据えた大学院教育のあるべき姿〜社会を先導する人材の育成に向けた体質改善の方策〜(審議まとめ)」https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2019/02/18/1412981_001r.pdf.中西啓喜,2017,「国立大学は推薦・AO入試によって「成績優秀な学生」を獲得できているのか?:エリートセクターにおけるマス選抜の導入」『高等教育ジャーナル─高等教育と生涯学習』24,pp.63-74.濱中淳子,2016,『「超進学校」開成・灘の卒業生─その教育は仕事に活きるか』筑摩書房.

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