5.まとめと考察(1)大学院進学を希望する生徒と、大学学部までの進学を希望する生徒では、学習時間に差異があるのか。平日と週末に分けて、学習時間について検討した結果、平日では、博士課程への進学希望者が図5 学校外での活動134それぞれの項目について確認していこう。大学院への進学を希望する生徒は、図書館を良く利用しており、大学学部までを希望する生徒の図書館利用が約20%に留まるのに比べ、博士課程への進学希望者では、40%以上と高くなっている。ボランティアについては、博士課程への進学希望者が多く参加する傾向がみられ、音楽教室(楽器・合唱団)、ミュージアム(博物館・美術館)訪問、表現活動(美術製作・ダンスなど)についても、大学学部までの希望者より、大学院への進学希望者のほうが多く参加している。特に、ミュージアム訪問については、大学学部までを希望する生徒では約10%に留まるが、博士課程への進学を希望する生徒においては約34%と高い割合となっている。これらの分析からは、大学院への進学希望者、特に博士課程への進学を希望する生徒は、学校外での学習活動にも積極的に参加する傾向があることが確認された。博士課程への進学を希望する生徒は、図3で示したように学校行事には積極的ではない傾向を示したものの、学校外の活動においては(集団で行われることも多いと思われるボランティア活動も含め)積極的に参加している。これについて、大学院、特に博士課程への進学を希望する生徒の「興味があることに意欲的」な特徴から考えると、学校外で参加する活動は、自分の興味のあることであり、その興味のあることであれば、集団での行動が含まれていても積極的に参加しているものとも考えられる。本研究は、高校生の大学や大学院への進学意識に着目し、高校時代から大学院進学を視野に入れている生徒はどのような生徒なのか、その学習行動や学習に関わる意欲・態度について検討してきた。本稿で設定した3つの課題に従い結果をまとめる。
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