早稲田教育評論 第37号第1号
129/228

であると考えられる。特に子どもの場合、大人との上下関係のもとで自分の意見を発したり表現できないといった構造的な「非対称性」を有しているとされる。だからこそ、ソーシャルワーカーはそうした非対称性を解消すべく働きかける(久保田 2015)からである。10 中学校では、教科ごとに分担して指導する教科担任制が敷かれているのに対し、小学校では原則として担任教員が全ての教科を指導する学級担任制が敷かれている。したがって中学校に比べて小学校の方が分業制の度合いが低く、Fさんのこうした語りが導かれたと解釈できる。11 クライエント(被支援者)・ファーストは、ソーシャルワーカーの倫理綱領Ⅰ.2.にて、「(クライエントの利益の最優先)ソーシャルワーカーは、業務の遂行に際して、クライエントの利益を最優先に考える。」として明記されている。参考文献(URLは2022年9月1日最終閲覧。)馬場幸子,2019,「SSWとの協働実践例と協働実践の展望」朝倉隆司監修,竹鼻ゆかり・馬場幸子編著『教師のためのスクールソーシャルワーカー入門』大修館書店.域精神衛生の理論と実際』,医学書院)の学校』サイマル出版会)藤本啓寛,2022,「スクールソーシャルワーカー活用事業の政策展開─予算編成における「政策の再文脈化」の帰結─」『学校ソーシャルワーク研究』17,pp.49-62.藤本啓寛,2021,「スクールソーシャルワーカー研究に必要な学校理解とはなにか?─「学校という枠」の融解をめぐる教育学研究レビュー─」『早稲田大学大学院教育学研究科紀要別冊 』29(1),pp.91-102.古川孝順,2004,『社会福祉学の方法─アイデンティティの探求』有斐閣.古川孝順,2003,『社会福祉原論』誠信書房.古川孝順,1998,「社会福祉理論のパラダイム転換」古川孝順編『社会福祉21世紀のパラダイム─理論と政策』誠信書房,pp.33-74.原内理恵,2009,「学校の中の『直接の関係』を守る 金澤論文を読んで考えたこと」『社会臨床雑誌』16(3),pp.28-41.本多勇,2014,「ソーシャルワーカーのジレンマ再考」本多勇・木下大生・後藤広史ほか『ソーシャルワーカーのジレンマ』筒井書房,pp.162-195.石戸教嗣,2011,「福祉と教育─子どもの幸せをめぐって」石戸教嗣・今井重孝『システムとしての教育を探る─自己創出する人間と社会』勁草書房,pp.247-260.岩間伸之,2005,「ジェネラリスト・ソーシャルワーク No.1」『ソーシャルワーク研究』31(1),柏木智子,2020,『子どもの貧困と「ケアする学校」づくり─カリキュラム・学習環境・地域との連携から考える』明石書店.河村茂雄,2010,『日本の学級集団と学級経営』図書文化.菊池いづみ,2018,「特集解題:福祉社会学とソーシャルワーク研究」『福祉社会学研究』15,pp.7-14.北川裕美子・吉田浩子,2019,「医療ソーシャルワーカーにおける職業上の葛藤経験の分析」『川崎医療福祉学会誌』28(2),455-464.久保田純,2015,「ソーシャルワーク実践における『ソーシャルワーカー─クライエント関係』─123Caplan, G., 1961, An approach to community mental health, New York: Grune & Stratton.(=山本和郎訳,1968,『地Cummings, W., K., 1980, Education and Equality in Japan, Princeton U.P. (=友田泰正訳,1981,『ニッポンpp.53-58.

元のページ  ../index.html#129

このブックを見る