4.第三者による家庭への支援拡大114ソーシャルワークの支援のひとつは、「第三者による家庭への支援拡大」と概念化することができた。例えば、A先生はSSWrの派遣依頼をかけるタイミングについて次のように語る。A先生: 保護者の反応として、「学校の対応が不適切なのではないか」、あるいは「このことでうちの子は学校に行けなくなるんじゃないか」という心配がありますとか、そういう保護者の不安の声だとか不満の声だとかが上がっているという報告を受けたときには、やはりスクールカウンセラーなりSSWrというところをまず考えます。(下線は筆者補記、以下同様)A先生は、学校と保護者の二者関係に「不安の声」や「不満の声」が上がったときに「スクールカウンセラーなりSSWr」の活用を検討するというのである。こうした考えは、裏を返せば、学校と保護者の間で関係が崩れない限り、スクールカウンセラーやSSWrの活用は積極的に考えられないことを示している。こうした「第三者」であるSSWrの存在は、A先生から次のように語られている。A先生: 学校の対応とはまた違う、子どもにとっても保護者にとっても学校の立場とは違う立場で、第三者的な立場で関われる存在、という風に捉えています。とかくやはり、学校の管理職、あるいは教員はとても保護者、子どもと近い関係にあるので、まぁ子どものことは一番よくわかっているわけですけども、学校の立場で色んなことを伝えるのと、(SSWrが)学校とは違う立場で(伝えるのは)、同じ内容であっても、その子どもの受け止め方、保護者の受け止め方が違うということもありますので。やはり子ども・保護者の安心感、というところはあると思いますので。そこはとても感じていました。(かっこ内は筆者補記、以下同様)A先生は、「保護者、子どもと近い関係にある」教員から伝えるのとは異なった「子どもの受け止め方、保護者の受け止め方」を期待して、SSWrを「第三者的な立場で関われる存在」として捉えている。教員が「子どものことは一番よくわかっている」といえども、教員以外の者による第三者的な関わりによって、「子ども・保護者の安心感」が得られる場合もあると考えている。したがってそれを担いうる職として、SSWrを活用しようと考えているのである。一方B先生は、少し異なった意味合いでSSWrを「第三者」と呼んでいる。それは、B先生の次のような語りに表れている。B先生: 今までは学校内で困ったときに校内特別支援委員会で検討する、またはSCに相談する、というところで止まっていたような状況。だから外部に支援を求めるといっても、教育センターに相談はするけど、保護者が動いてくれないと、まぁ学校としては手立てがないというような状況の中で、担任が抱えて悩むしかないような状況でし
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