■ 国家(18):中国人、国旗、国貨、国暦、国慶、我が国の発明、 国民の義務と権利、中華民族の光栄、我々の国家、我が国の道徳、団結、抵抗、民国以前の国恥、民国以降の傷、不平等条約、新たな生路、自衛、国防■ 政党(10):孫中山先生、革命の理由、三民主義、各級政府、団体の組織、法律常識、平表3 『民衆学校課本』の題目整理4.『民衆学校課本』の内容分析(1)国家・政党に関わる内容民衆の民族意識や愛国心の育成という『民衆学校課本』の基本目標を実現するためには、国家・政党に関わる内容が最も重要であったと考えられる。『民衆学校課本』においては、国家・政党に関わる内容は合計28課がある。その内容をさらに細分化すると、国家に関わる内容は18課、政党に関わる内容は10課であり、国家に関する内容がはるかに多かったといえる。 そのテーマを見ると、『民衆学校課本』は幅広いテーマに触れていたことがわかる。「中国人」、「国旗」、「国貨」といった国家・政党に関する内容のほか、「空気」、「ハエや蚊」、「孔子」、「岳飛」といった一般教養の内容、さらに「食事」、「住宅」、「禁酒・禁煙」、「健康な体」といった個人の実生活につながる内容も多く見られ、多様であるといえる。また、前述のように、『民衆学校課本』は「民衆に公民として必要な知識と技能を習得させる」ことを教育目標として編成された。『民衆学校課本』が求める公民として必要な知識と技能にはおおむね、①国家・政党:国家・政党に関わる知識及び軍事訓練に関する技能の習得、②一般教養:社会や地理、歴史に関わる知識の習得、③個人生活:生計や衛生、職業、地域生活に関する知識や技能の習得、という3つの種類があると考えられる。表3のように、『民衆学校課本』においては、国家・政党に関わる内容は28課、一般教養に関わる内容は23課、個人生活に関わる内容は30課であり、各部分の量はほぼ同じである。次に、各部分の具体的な内容を踏まえて、『民衆学校課本』に潜む価値観やイデオロギーを明らかにする。均地権、節制資本、七十二烈士、防空演習テーマ中国人、国旗、国貨、国暦、孫中山先生、国慶、革命の理由、我が国の発明、三民主義、国民の義務と権利、各級政府、中華民族の光栄、我々の国家、団体の組織、法律常識、我が国の道徳、土地所有権の平均、資本の節制、民国以前の国恥、民国以降の傷、不平等条約、新たな道、七十二烈士、自衛、団結、抵抗、国防、防空演習(28課)空気、ハエや蚊、水の変化、雷、老耄、交通の進歩、太陽・月と地球、日食・月食、地球の水と陸、違う肌の色、動物、植物と鉱物、汽力と電力、首都、長城と運河、越国の雪辱、孔子、岳飛、国内の遊歴1、国内の遊歴2、世界一周、戚継光、花木蘭(23課)読書好、幹、我が家、銭大友、領収書、職業、書付、道路修築、植林、クイズ、服装、食事、住宅、禁酒・禁煙、健康な体、消防、合作社、田華の村、誰もが不可欠、農工商の互助、賀状、招待状と借用書、伝染病、孫家村、皆の福利、新生活、農地売買契約書、救急法、好家庭、卒業式の講演(30課)国家・政党に関わる内容一般教養に関わる内容個人生活に関わる内容題目97
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