表1 民衆教育教科書の出版状況書名河南民衆課本三民主義千字課上海市民衆識字課本民衆識字課本民衆学校課本千字課本民衆千字課本農民千字課民衆教育読本三民主義千字課識字課本市民千字課平民千字課生活化農民読本民衆高級読本老少通千字課実験民衆読本一方、1928年から数年の間に、民衆教育教科書の内容は大きく変化した。1930年代初頭においては、一般民衆の識字率が20%未満という状況に合わせて『三民主義千字課』(教育部編、1933年)や『農民千字課』(中華平民教育促進会編、1931年)など、「千字課」という民衆の識字量に主眼を置いた教科書が多かった。しかし、このような識字量を達成するために、長く複雑な文章が多く載せられており、民衆の教育レベルや学習意欲と合致しない内容も多く見られた。そして国共内戦や日中戦争が切迫しつつあったその時期に、国民政府が求める教育目標や教育内容も変わってきた。1934年、民衆教育を専門に研究する学術誌『教育与民衆』には、湖南省教育庁庁長である張炯による「民衆学校課本改編之我見」という文章が掲載された。この文章の中では張炯は、それまでの識字量に偏った民衆教育教科書を批判し、これからの民衆教育教科書は、「文字数の多さにも関わらず、意義のある教育内容を最も重要視すべきである」10と述べている。そして「意義のある教育内容」について、張炯は「民衆がその教科書の内容を習得した後、中国とはどのような国か、個人と社会の関係についていかに考えるべきか、個人と国家の関係についていかに考えるべきか、国難の状況はどのようであるか、未曾有の国難の中で個人はどうあるべきかを理解すること」と述べているように、個人の中国社会との関わりに着目して民衆に考えさせる公民教育こそが、意義のある教育であると捉えていた。作者河南省教育庁教育部上海市教育局湖北省政府教育庁教育部魏氷心魏氷心平民教育促進会総会胡知非、沈圻暁荘学校沈百英平民教育促進会総会黎錦暉甘豫源,王璋秦柳方陶行知馬祖武出版社商務印書館教育部商務印書館商務印書館商務印書館世界書局世界書局商務印書館新時代教育社新時代教育社商務印書館商務印書館中華書局江蘇省立教育学院江蘇省立教育学院商務印書館商務印書館95出版年1931年1933年1935年1935年1936年1928年1929年1929年1929年1929年1930年1931年1931年1934年1934年1935年1937年属性行政組織行政組織行政組織行政組織行政組織教育団体教育団体教育団体教育団体教育団体教育団体教育団体教育団体教育団体教育団体教育団体教育団体
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