早稲田教育評論 第36号第1号
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(2)『首都圏 私立高校 大学附属校ガイド 2020年度用』を参照した。(3)『新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育,大学教育,大学入学者選抜の一体的改革について〜すべての若者が夢や目標を芽吹かせ,未来に花開かせるために〜(答申)』(中央教育審議会 2014)を指す。(4)別のパネル調査(東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所 2019)でも,偏差値65以上の大学に進学した生徒の学習時間が,1年生で約1.3時間,2年生約1.4時間,3年生3時間と,3年生になって学習時間が倍増するという同様の傾向を示している。(5)本稿では,附属・系属高校との連携関係がある特定の大学を系列大学とする。(6)附属・系属高校ホームページで,系列大学への進学実績(割合)を公開していることもある。(7)どのような生徒が,系列大学への推薦進学を希望するか,系列大学の入学難易度に影響されると考えられる。系列大学の入学難易度が高い場合は,成績上位層が附属・系属校推薦を希望し,成績下位層が一般入試等に進み,系列大学の入学難易度が高くない場合は逆に,成績上位層が一般入試等を希望し,成績下位層が附属・系属高校推薦を希望するとも考えられる。(8)附属・系属高校の生徒の進学ルートは,この3つに限らず,多くの高校の生徒が選択するような指定校推薦,AO入試などの選択肢もある。しかし,本研究では,主に附属校推薦(全入および選抜あり)と一般入試を比較するためにこのような3つの大学進学ルートを対象とすることとした。(9)進路に関してトラッキングという用語が使われることがあるが,本稿では個々の生徒の希望する大学への進学方法から,大学進学ルートを使う。(10)晶文社学校案内編集部(2019)では,系列大学の選抜性と内部進学率にある程度の関連が見られる。(11)附属・系属高校への他の進学理由は,「自分に合った学力,偏差値」33.2%,「学校の知名度,伝統」22.7%などであった。(12)3つの大学進学ルートの人数は,推薦(全入)2,163人,推薦(選抜)は652人,一般入試は413人であった。学年等の変数に欠損値があれば,分析対象人数が変わる。(13)「第一希望の大学へ進学するためには,勉強などをもっと頑張らなければいけないと思いますか。」という問いに「そう思わない」から「とてもそう思う」の4件法(および「わからない」)の選択を求め,「そう思う」「とてもそう思う」を選んだ生徒の割合を示している。附属・系属高校から系属大学への推薦においては,学業成績以外についても考慮されることもあると考えられること,また現状の努力では不十分だと考えているかを確認するために,質問文は,「勉強などをもっと頑張らなければいけないと思いますか」とした。(14)希望学部に関して,カイ二乗検定を行った結果,グループ別ではt=131.826,df=2,p<.001で有意であった。推薦(全入)ルートの学年別ではχ²=28.902,df=2,p<.001で有意であった。(15)教科学習への意欲に関して,カイ二乗検定を行った結果,グループ間ではχ²=8.948,df=2,p<.05,各グループの学年別では,推薦(全入)はχ²=3.052,df=2,n.s.,推薦(選抜)はχ²=4.231,df=2,n.s.,一般入試はχ²=2.062,df=2,n.s.であった。(16)大学進学への努力と教科学習への意欲の相関係数は,推薦(全入)は.115**,推薦(選抜)は.013,一般入試は.102*であった。(17)教科学習への意欲について,各グループの平均値,標準偏差を確認したところ,推薦(全入)はM=2.87,SD=.750,推薦(選抜)はM=3.06,SD=.740,一般入試はM=2.71,SD=.802であった。(18)教科内容の面白さに関して,カイ二乗検定を行った結果,グループ間ではχ²=22.200,df=2,p<.001,各グループの学年別では,推薦(全入)はχ²=5.311,df=2,p<.1,推薦(選抜)は私立大学附属・系属高校生徒の学習に関する研究 ─大学進学ルートの違いに着目して─85

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