より低いとは言えず、大学入学者選抜がないことが、生徒の学習意欲を低減するとは言えないことが明らかになった(17)。また、図4で示すように教科内容の面白さについては、推薦(全入)ルートと推薦(選抜)ルートにはほぼ差がなく、一般入試ルートはそれを10ポイント程度下回る結果となっている(18)。教科内容の面白さについても、教科学習への意欲と同様に、附属・系属校推薦で進学する生徒のほうが教科内容の面白さを感じており、大学入学者選抜がないことが、生徒の学習への興味を低減するとは言えないことが示された。推薦(選抜)ルートの生徒は、大学進学への努力の必要性を強く感じ、教科学習への意欲が高く、教科内容を面白いと感じていることから、大学進学がある程度ポジティブなプレッシャーになっているのではないかと推測される。一方、推薦(全入)ルートの生徒は、大学入学のプレッシャーを感じず、教科学習への意欲も保持し、なにより教科内容の面白さを感じながら高校生活を過ごしているものと考えられる。前節では、教科学習への意欲、教科内容の面白さという学習への意識について検討した。本節では、学習への努力指標(苅谷 2000)、また学習意欲(荒牧 2002)とも意味づけられる学習時間について検討する。附属・系属高校の生徒全体では、平日の授業以外の学習時間(19)は約1.6時間、土・日は約2時間であったが、進学ルートによる学習時間の差は顕著である(図5、図6)。推薦(全入)ルートの生徒は、3つのグループでは一番勉強時間が短く、1年生では平日で100%85.5%80%73.7%60%71.6%40%20%0%4.3.学習時間推薦(全入)私立大学附属・系属高校生徒の学習に関する研究 ─大学進学ルートの違いに着目して─図3 教科学習に意欲的1年生推薦(選抜)一般入試78.7%79.7%72.4%69.6%62.7%65.9%2年生3年生100%69.8%80%65.6%60%52.0%40%20%0%推薦(全入)1年生推薦(選抜)一般入試61.6%59.9%60.0%57.7%51.5%47.6%2年生3年生79図4 教科内容は面白い
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