だろうか。大学進学のために勉強などをもっと頑張らなければいけないと考える生徒の割合を、大学進学ルート別に示したのが、図1である(13)。大学進学ルート間の差異を見るために、学年毎にχ²検定で確認したところp<.001と有意な差が確認された。図1で一般入試を希望する生徒を見ると、1年生では約74.0%の生徒が、努力が必要と考えており、1年生と比べると3年生で5ポイントほど減少するものの、高校3年間を通して、努力の必要性を感じていることがわかる。推薦(選抜)ルートの生徒、つまり大学への推薦枠に限りがある附属・系属校で選抜のための競争を余儀なくされている生徒でも、努力が必要と考えるものは1年生に72.3%と高い。本データを疑似パネルデータとみるならば、2年になると約6ポイント減り64%に減少するものの、3年時になると70%に上がり、2年時にゆるんだ緊張感を高めていると見ることもできよう。一方、推薦(全入)ルートの生徒、つまりほぼ全員が系列大学への進学が保証されている附属・系属高校の生徒では、努力が必要と思っている生徒は1年生では36.8%程度と低く、学年が上がると大学進学のための努力の必要性認識が下がる傾向にある。系列大学への進学が「保証」され、「選抜」が行われないことが、彼らに大きな安心感を与えるとともに、大学入学が近づくにつれて、大学進学に向けて努力しようという気持ちが低くなるものと考えられる。では、希望学部への進学についてはどうだろうか。推薦(全入)ルートの生徒にとっても、保証されているのは系列大学への入学のみであり、希望学部への入学については少なからず校内選抜が行われる。図2が示すように、希望学部へ進学するために努力が必要だと思っている生徒の割合は、その現状をよく反映している。100%80%74.0%72.3%60%36.8%40%20%0%推薦(全入)私立大学附属・系属高校生徒の学習に関する研究 ─大学進学ルートの違いに着目して─図1 第一希望の大学進学に努力が必要1年生72.9%69.3%70.9%64.0%33.9%29.5%推薦(選抜)一般入試2年生3年生100%74.8%80%74.0%60%56.6%40%20%0%推薦(全入)1年生推薦(選抜)一般入試2年生3年生75.7%66.8%68.4%67.7%50.8%42.4%77図2 第一希望の学部進学に努力が必要
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