潜んでいる認識変化の特徴を捉えていく。具体的には、オープン・コーディングから13個のコードを、そして焦点的コーディングによって4個のコードを抽出した。コーディングの構造は図1に示した。統合的機能は具体的な活動に言及されていないものの、マクロのレベルで提示される教育的機能である。物資提供の機能は、施設・設備などの物や資金を提供する機能である。知力提供の機能は、ポリシーの提案、評価や監査などを含む知恵を提供する機能である。ガバナンス機能は、多様なアクターの相互関与によって、協力する機能である。コードマップ(図2)によると、当初は、統合的な教育機能や物資提供が多く提示される。例えば、「教育法」(1995年)では、(統合的機能)「(第二十五条)国家は企業事業組織、社会団体、その他の社会組織及び市民個人が法律に基づいて学校その他の教育機関を開催することを奨励する」とされ、「職業教育法」(1996年)では、(物資提供)「(第三十二条)国家は企業、事業組織、社会団体、その他の社会組織および公民個人を支援し、国家の関連規定に基づいて職業教育奨学金、奨学金を設立し、成績優秀な学生を奨励したり、経済的に困難な学生を支援したりする」と規定されている。それに対して、近年の文書においては、知力提供や教育ガバナンスの機能についての記述が多い。例えば、「高等教育法」(1998年)では、(知力提供)「(第四十四条)教育行政部門は専門家を組織し、第三者の専門機関に委託して高等学校の運営水準、効果、教育の質を評価する」とされ、また「国家中長期教育改革及び発展計画綱要(2010〜2020年)」(2010年)では、(ガバナンス)「(第四十七条)積極的に業界協会、専門的な学会、基金会などの様々な社会組織の教育の公共ガバナンスの役割を生かす」とされている。「社会力量」に対する認識は、教育ガバナンスにおいて積極的な役割が期待される段階に入ったことを示している。具体的に言えば、かつて、政府は「社会力量」の役割を認識していたものの、「社会図2「社会力量」の教育機能に関するコードマップ出所:コーディングの結果に基づいてMAXQDAで筆者作成出所:コーディングの結果に基づいて筆者作成211図1「社会力量」の教育機能に関するコーディングマインドマップ
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