国際バカロレアプログラムにおける批判的思考指導モデルの検討 ─教育学諸理論の関係性と教師の語りに着目して─図2.IBにおける批判的思考指導モデル以上、第2節で、IBプログラムにおける批判的思考に係る教育学理論と哲学、その関係性を検討してきた。これらを総括すると、IBプログラムにおける批判的思考指導の核となる教育学諸理論は図2のようなモデルで描くことができる。本質的な問い多重論理に基づく対話型の学び(Paul)本質的な問いに基づく逆向き設計のカリキュラム(Wiggins & McTighe)問いを中心とした授業概念理解を促す指導アプローチ(Erickson)包括的な問い転移可能であるが教科固有の知識に結びつかないトピックごとの問い教科固有の知識は身につくが、転移可能性は低い高次思考レベルの問い(Bloom et al.)11図1.本質的な問いの種類と特徴(McTighe and Wiggins, 2013を基に作成)IBプログラムにおける批判的思考指導モデルは、問いを中心とした授業編成がモデルの核となっており、それを支えるカリキュラムとして逆向き設計論が採用され、そのための枠組みとして概念型学習を組み込んでいると言える。そして、指導アプローチとして高次思考レベルの問いを中心としながら、多重論理に基づく対話型の学びが重視されている。図2における縦の関係
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