1561957年度家庭環境(39人)両親がいる者両親はいるが別居中父親がいないもの母親がいないもの両親がいないもの両親がいる家庭調査対象父が病気定収入15人37.5%人数比率5人12.5%表8からも明らかなように、夜間中学生は昼間、何らかの形でほぼ全員働いていたのである。後述の家庭環境の厳しさがその背景にあることが容易に想像できる。なお、生徒の職種と賃金については後述する。両親がいる生徒、両親がいない生徒、両親が別居中の生徒、母子家庭・父子家庭の生徒など、夜間中学生は様々な家庭状況に置かれていたことが浮き彫りになっている。また、1961年度の家庭環境をみると、両親がいる生徒で、「父が病気」、「定収入」、「別居中」を合わせると60%を占める。そして、1957年度から1959年度までは、両親がいない生徒も相当数おり、夜間中学生がいかに厳しい環境に置かれていたかを如実に表している。夜間中学生の家庭環境について専任教諭の笹沼和夫は次のように回顧している48。 十代の若い生徒達が多く、教室はいつもにぎやかであった。当時はきょうだい四、五人は普通であり親が病気などで働けなくなれば、長男・長女は一家の生活のために働かざるをえない社会事情であった。こんな状態での生徒だったから仕事の疲れや家庭でのいやな事をいやしてくれるのが学校だったのだろう。教室からよく笑い声が聞こえた。九中夜間部の生徒の住んでいる地域をみると、荒川区内在住の者と区外在住の者に分かれる。区内在住の生徒は、「尾久町」が一番多く、「三河島」が二番目に多い傾向があり、初期の段階では学校近辺在住の生徒が多かったことが窺える。区外の地域として、埼玉県、千葉県、足立区、■飾区、台東区、板橋区、練馬区、千代田区など、遠方から通学していた生徒も一定数いたこと人数家庭環境(41人)2人両親がいる者7人両親はいるが別居中4人父親がいない者4人母親がいない者4人両親がいない者1人不明父子家庭定収入1人2.5%40人100.0%計1959年度人数18人4人9人5人4人1人4)家庭環境5)住んでいる地域表9 生徒の家庭環境(1957年度~1959年度、1961年度)1958年度人数家庭環境(20人)18人両親がいる者2人両親はいるが別居中9人父親がいない者7人母親がいない者3人両親がいない者不明1961年度母子家庭別居中4人10.0%15人37.5%
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