早稲田教育評論 第36号第1号
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南京国民政府時期(1927〜1949)における民衆教育館の展開 ─徐州民衆教育館の取り組みを中心に─表7 国語教育と公民訓練の内容固定的(国語教育)表8 民衆学校の各科目の授業時間国語300240300常識180120180算数180120120出典:「五年来的教導部」,『教育新路』,1938年より30 筆者作成出典:『江蘇省立徐州民衆教育館周年記念特刊』,1933年より31 筆者作成そのほか、生計部が主導した事業が多く見られる。しかし人手や経費の制限がある中で、成果を得ることが難しかったと言える。国語教育と公民訓練は同じく教導部が主導した事業であった。その中で、固定的な場所で事業を行うのは国語教育であり、場所を決めずに活動的で事業を展開したのが公民訓練であった。『教育新路』によると、国語教育と公民訓練の内容が年々変化し、途中で中断してしまう事業は多く見られた。例えば、1933年に設立された民衆茶園は一年も経たずに中止された29。そんな中、国語教育における民衆学校という事業は最初から最後まで続いた。そのため、ここでは民衆学校といった事業を国語教育の代表的な例として検討したい。民衆学校は具体的に、文盲の掃除、民衆知能の向上、民族意識の喚起という三つの目標を設定し、これらの目標を実現するため、国語や一般常識などの授業を行った。授業の時間割によると、各科目の中で国語の授業時間は最も多かった。その意味で民衆学校の最も重要視される課題は文盲の掃除であると言えよう。また、民衆学校の対象者は主に地域の失学者であった。民衆学校は年齢や性別によって、児童班、婦人班、成人班を設置し、その後も、職工班や店員班など職業ごとに編成したクラスも設けた。時期1933. 2〜33. 41933. 5〜34. 7民衆学校、特約民衆茶園、民衆閲報処、民衆代筆処、露天閲報処民衆学校、民衆病院、民衆図書館、民衆運動場、民衆閲覧室1934. 8〜35. 7民衆学校、民衆図書館、民衆閲報処、閲覧室、民衆運動場、民衆病院1935. 8〜民衆学校、簡易小学校、改良学塾、民衆運動場、民衆診所、民衆図書館、民衆閲報室児童班婦人班成人班活動的(公民訓練)郷村(市民)改進会、清潔運動、種痘運働、防疫運動郷村(市民)改進会、婦人協進会、種痘訓練班、民衆余暇運動会、種痘運動、衛生運動、道路修築運動、浚渫運動読書会(児童・婦人・成人)、学術講演会、流動展覧、演説試合、郷村(市民)改進会、婦人会、興国会、励志団、児童自治団、郷村自衛団、種痘運動、道路修築運動、浚渫運動郷村(市民)改進会、婦人会、励志団、児童自治団、連村自衛団、興国会唱遊90 0 0芸術90 0 0娯楽 06060133家政 0120 0合計8406606602.国語教育

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