Binet and SimonDeweyBloom et al.BrunerGlaserPiagetVygotskyResnick and ResnickBoyerKincheloe国際バカロレアプログラムにおける批判的思考指導モデルの検討 ─教育学諸理論の関係性と教師の語りに着目して─知能指数(IQ)テスト:特別教育を必要とする生徒のために、注意力、記憶力、問題解決能力を測定するための質問を作成した。批判的思考を学問領域として初めて位置付けた。思考力と振り返りの関係性を明らかにし、これを反省的思考と定義するなど、批判的思考研究の原点となっている。タキソノミー:思考力を低次思考力(lower order thinking skills: LOTS)と高次思考力(higher order thinking skills: HOTS)の主に2つのタイプに分類した。発見学習:自分で発見をする、という行為は、問題解決に必要な情報をより鮮明にすることにつながる、と論じた。これまでの思考指導とそれらを支える心理学的なバックボーンについて、知性、推論、知識の獲得、問題解決といった認知スキルの観点から分析した。構造主義:人間の発達は、知性の発達に従って、別の構造に再構成される、という理論を展開した。学習者自身が理解して自律的に実践することで、新たな知識が得られる、とした。思考と言語:人間は、言語を理解したり使用したりする行為を通して、思考を深めることができると論じた。教科及び実生活・実社会の両方において、問題解決を行うことを目指す指導法を提案した。この指導法では、テキストの読解や、自己認知を高めること、そして議論の内容を分析したり評価したりするような構成となっている。教育における最も重要な目標は、言語能力と批判的思考力の獲得であるとし、言語と思考は互いに関連し合っていると説明した。ここから、IBプログラムでは、批判的思考の役割について、理性的な態度で批判的思考や創造的思考を働かせながら論理的な決断を下し、複雑な問題を解決する資質・能力の獲得を習得すべき内容とし、教育方法としてそのような仕掛けづくりを促そうとしている側面が確認できる。では、IBプログラムにおける授業では、批判的思考指導をどのような教育学諸理論に依拠して展開しているのだろうか。IBプログラムで採用されている教育方法は、国際バカロレア機構が独自に編み出して開発したものではなく、教育学の諸理論・哲学と、研究者・教育実践者からのフィードバックを結びつけて構成されている(成田,2020)。加えて、IBプログラムで取り入れられている理論・哲学は、そうした伝統的な教育学諸理論や哲学を踏まえつつ、21世紀以降に提唱されたものも、積極的に取り入れている点に特徴をもつ。IBの批判的思考に係る教育方法に大きな影響を与えた教育学諸理論として、Akatsuka(2021)は国際バカロレア機構が発行する文書を分析し、以下の14個の枠組が参照されていていることを明らかにしている(表4)。52.2 IBプログラムにおける教育方法と批判的思考の関係人 物出版年1905表4.IBに組み込まれた批判的思考育成に関連する教育学諸理論と哲学193319561961196319701986199219952004「複合的な批判的思考」(complex critical thinking)という概念を提唱し、批判的思考は様々な社会環境や学問領域の中で意図的に教えられるべきだと主張した。理論的な枠組みとその特徴
元のページ ../index.html#11